Amazon Payが自社ECサイトの機能強化に提供できる価値とは
アマゾンジャパン合同会社
Amazon Pay事業本部 本部長
井野川 拓也 氏
事業開始7年で導入事業者2万社以上、サイト数は10万以上
Amazon Payは、Amazon以外のサイトでの購買でAmazonアカウントに登録されている情報を使って簡単・安全にお買い物ができるID決済サービス。Amazon以外のECサイトで買物をする際に、決済方法画面で「Amazon Payボタン」をクリックし、Amazonアカウントでログイン。内容を確認して「続行」を押すだけ。Amazonアカウントに登録されている氏名や住所、電話番号、メールアドレスといった情報が自動的に連携されるので、ECサイトでいちからあらためて情報を記入する必要がない。
Amazon Payは日本での提供開始から7年を経過し、導入事業者数は2万社以上、利用可能なサイト数は10万サイト以上に拡大している。(2022年5月アマゾン調べ)
Amazonアカウントだけで決済可能な利便性と安全性で導入拡大
ECサイトでお客様が離脱する理由には、会員登録が必須だったとか、購入までのプロセスが複雑、クレジットカード情報を入力したくないといった理由が挙げられている。
Amazon Payがお客様にどんなメリットを提供できるかについては、Amazonアカウントひとつで決済が可能な利便性が挙げられる。多くのECサイト利用者はECサイトごとにIDやパスワードが必要となり、よく利用するサイトならまだしもそうでないとそれらを忘れてしまうことが多い。
また、Amazon Payを利用すれば、氏名や住所、配送先といった基本情報をいちいち入力せずに済むのでスピード感もある。さらにECサイトは自宅だけでなく外出している時、例えば電車に乗っているときなどにも利用する場合がある。その時に財布からクレジットカードを出して入力するのは避けたい。Amazon Payはカード情報入力が不要なので、どこでも買い物ができ、しかもマーケットプレイス保証も付くので安心である(一部対象外の商品もある)。また、Amazon Payでは支払い方法としてAmazonギフト券残高を使うことができる。ギフト券残高を使った場合には、その1%がギフト券で還元される(プライム会員の場合、通常会員は0.5%還元)などお得感もある。
一方、EC事業者側の課題では、新規顧客の獲得や顧客満足度の向上、ロイヤルカスタマーやリピーターの醸成などが上位にあげられる。これらについてもAmazon Payを導入することで課題の解決が期待できる。
実際にAmazon Payを導入したEC事業者ではゲスト購入者のうち、Amazon Payで決済した割合は4割~5割を占めているという事例もあり、そのうち会員となった購入者は8割に達したという。そして新規会員登録数の増加率では、上図で示すように未導入ECサイトの平均が前年比で35%増なのに対し、Amazon Pay導入済みのECサイトの平均は前年比100%増となっている。導入事例では、例えばソフマップではオンラインショップにゲストで来訪し、注文後の会員登録率を見るとAmazon Pay決済利用時は約3倍に増えていることで新規顧客獲得につながっているのがわかる。
新規顧客の獲得、コンバージョンレートの改善、不正取引対策という3つのメリット
Amazon Payを導入することで、コンバージョンレートの改善も期待できる。下図で示す月間注文件数の増加率では、未導入ECサイト100店舗平均が前年比で60%増なのに対し、導入済みECサイトの平均は前年比88%増となっている。導入事例では銀座ワシントンの場合、コンバージョン率が20%増加し、新規購入者数は13%増加したとし、決済に必要な情報を入力する手間が省けるのでエントリー時での離脱を軽減できているという。
さらに不正取引対策としてもAmazon Payを導入する効果は高い。EC事業者にとっては個人情報保護、セキュリティ対策などにコストをかけなければならない。Amazon PayならばAmazonアカウントでログイン管理ができ、それにより注文時の不正チェックが可能になる。不正利用が発生した時にはAmazonが直ちにサポートするので安心である。ブランド品などを扱う株式会社コメ兵では、Amazon Pay導入後、不正取引に関する確認作業が軽減されたことと、Amazonマーケットプレイス保証の対象となり、実質的にチャージバックのリスクをゼロに近づけることができる、という点をメリットに挙げている。
つまりEC事業者にとってAmazon Payを導入することで、新規顧客の獲得、コンバージョンレートの改善、不正取引対策という3つのメリットによりマーケティング効果も期待できるということになる。
ここまで様々なAmazon Payのメリットを見てきたが、最後に販売事業者から問い合わせの多い点についてまとめておく。販売事業者にとっては購入者がAmazon Payで支払いをすることで、自社ECサイトの売れ筋情報がAmazonに共有されるのではないかという不安を持つ方もあるかもしれない。しかしAmazon Payの仕組みではそれぞれの販売事業者の商品の購買商品データ等はAmazon側では保有できない仕組みになっているから心配は無用だ。また、購買者にとってはECサイトにクレジットカード情報が販売事業者にも共有されるかどうかは気がかりな点だ。しかしここでもAmazon Payの仕組みではAmazonアカウントに登録されたクレジットカード情報は販売事業者には共有されない仕組みになっており、販売事業者にとってはクレジットカード情報の非保持化につながる。
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