ヤマト運輸が開発! オートロック付きマンションで「置き配」する技術とは
①利用者は、荷物の「お届け予定通知」をEメールなどで受け取った後、通知内に記載されているリンクから受け取り日時・場所が変更できるページにアクセスし、「置き配」をする場所を選択し、オートロックの解錠に同意する。
②ドライバーが荷物のバーコードをオートロック解錠専用のアプリでスキャンすると、MDKP上でデバイスの設置情報と、利用者が注文時に登録した配達先の住所情報をマッチングする。照合が確認されると、対象のデジタルキー会社にエントランスのオートロック解錠申請が行われる。
③その解錠申請を受け、オートロック解錠に必要なワンタイムパスワードが発行され、アプリ内のオートロック解錠ボタンが有効化される。解錠ボタンを押下し、エントランスのオートロックを解錠する。
④ドライバーが入館し、利用者が指定した場所に置き配、撮像する。
「開発に当たってのいちばんの課題は、セキュリティの確保だった。ワンタイムパスワードを活用し、配達業務中のみ一度だけドライバーがオートロックを解錠することができるオペレーションにすることによって、高いセキュリティを実現することができた」(直井氏)
1年後には1万棟の導入をめざす
ヤマト運輸では、このMDKPによる置き配サービスを、2022年3月28日から東京都内の14棟のマンション(デジタルキー提供企業:ライナフ)で運用開始した。その後は、ビットキー、PacPortといった各デジタルキー提供企業とも連携し、順次サービスを展開していく。
また、デジタルキー提供企業だけでなく、両社で9割以上のシェアを占めるというパナソニック、アイホンのインターフォン提供企業との連携も推進していくことで、導入マンションを一気に拡大していく方針だ。「2022年3月中に、1万棟の導入を目指している」(直井氏)
「置き配」潜在ニーズ掘り起こしが普及のカギ?
「あくまで感覚値だが、置き配にはまだ潜在的なニーズがあるように思う」
直井氏はそう語る。確かに、置き配が浸透しているのは都市部や、あるいは一定の年齢層に限られている可能性もある。その潜在ニーズをさらに掘り起こすことで、MDKPの普及は加速度を増していくだろう。
その追い風の一つとして、国土交通省も、サプライチェーンの強靱化と配送システム効率化の観点から、非接触・非対面型の配送を推奨するスタンスを示している。国交省は2022年4月、「非接触・非対面型輸配送モデル創出に係る調査・実証事業」の結果を公表し、非接触・非対面型の消費者向け配送のガイドラインを示した。
「当社としては、利用者の利便性の向上や不満の解消に主眼を置いているが、このような国の政策ともベクトルを合わせていきたいと考えている」(直井氏)
競合他社もオートロック付きマンションへの対策を検討する中で、MDKPを打ち出し一歩リードしたヤマト運輸。業界リーディングカンパニーの今後の展開に注目したい。