ローソン 代表取締役社長 竹増 貞信 「笑顔」と「デジタル」でボーダーレス時代を勝ち抜く
約1万4000の店舗網を全国に張り巡らせ、2018年2月期(17年度)はチェーン全店売上高2兆3100億円(対前期比7.0%増)を見込むコンビニエンスストア(CVS)大手のローソン(東京都)。“コンビニ飽和論”がささやかれるなか、同社は21年度に1万8000店舗、平均日販60万円を中期目標に掲げる。ローソンはどのような成長戦略を描いているのか。竹増貞信社長に聞いた。
17年は商品強化で客単価アップ!
──2017年度を振り返るとどのような年でしたか(注:インタビューは期中の2月下旬に実施)。
竹増 17年は株高のうえ、極度の円高というわけでもありませんでした。ほかの業界を見てもよい決算の企業が多く、景況感は悪くないと感じております。しかし、食品小売業の業績はあまり景気に左右されません。景気がよくなったところで1人が1日当たりに摂取できる量は変わらないからです。好景気に浮かれず、地に足をつけて取り組んでいこうというのが17年度でした。
──17年度通期ではチェーン全店売上高2兆3100億円(対前期比7.0%増)、店舗数1万4011店舗(同900店舗増)を計画されています。
竹増 計画はおおむね順調に進んでいます。CVSだけでなく、食品を販売するドラッグストアやECなど、業態を超えた競争が激化していることもあり、客数が減少しました。しかし、それ以上に客単価が伸びたため、既存店売上高も対前期比プラスとなる見込みです。
──どのように客単価を伸ばしましたか。
竹増 ローソンでは16年度から「1000日全員実行プロジェクト」を掲げ、実行してきました。これが実を結び始めています。
まず16年度は、セミオート発注や自動釣銭機の導入など、店舗に積極投資し、省力化、生産性向上に取り組んできました。
2年目の17年度は、商品力を強化しました。とくに注力したのが、弁当やおにぎりなど定番の質を上げることと、ワクワクするような差別化商品の開発です。
定番商品は、おにぎりを15年ぶりに全面刷新したほか、唐揚げ弁当やのり弁当など、リピート率の高い弁当をリニューアルし、おいしさを追求しました。
差別化商品としては、チョコレートブランドの「ゴディバ」とコラボした「Uchi Café SWEETS×GODIVA 濃厚ショコラケーキ」など、消費者がワクワクするような新商品の開発や、サラダを16SKUから26SKUに増やすなど、健康関連商品を強化しました。その結果、デザート類の17年度上期の売上高が対前期比2.5%増、サラダは同12.1%増となりました。
単に価格を上げるのではなく、「この品質で、この量の商品が、この値段で買える」というように、お客さまの期待を上回るような価値のある商品を提供することが客単価アップにつながったと考えています。
18年は朝、昼を守り“夕方”を攻める
──18年度は「1000日全員実行プロジェクト」の最終年度になりますが、何に重点的に取り組まれますか。
竹増 16年度は店舗投資、17年度は商品力を強化してきました。18年度は朝、昼の需要を守りつつ、夕方以降のニーズを攻めていきたいと思っています。
これまでもローソンは総菜、FF(ファストフード)商品の品揃え強化に取り組んできました。
夕方を攻めることで既存店の日販をどれだけ高めることができるかがカギになります。16年度、17年度で地盤を固めたので、18年度に一気に日販を伸ばしたいと考えています。
ローソンは21年度に国内CVS店舗数1万8000店舗、日販60万円という中期目標を掲げています。この中期目標にどれだけ迫ることができるか、「1000日全員実行プロジェクト」の最終年度である18年度に一度その答えを出したいと思っています。