食品スーパーもJAも問題だらけ!青果流通の不都合な真実とは?
食品スーパー(SM)にとっての“顔”であり、来店頻度、客数を決める重要部門が青果売場だ。しかし、青果売場のその特殊性を、SMの経営幹部は知らず、ほかの部門のやり方に無理に当てはめてきた。問題だらけ、特殊性だらけの青果売場をどのように解決し、より魅力的な売場にしていくためにはどうすべきかを連載を通じて提案していきたい。初回は、青果売場にとどまらない、市場(いちば)や流通までを含めた、「青果の大問題」である。まずは現実を知ることから始めたい。
非効率の根本流通を分断する“壁”とは
日本の農産物の流通システムは、今では生産者のニーズも消費者のニーズも、そして小売業者のニーズにも合致しない旧来型のシステムだ。
かつて市場は大量の小規模農家の生産物を、これまた大量にある小規模青果店に商品を届けるために、非常に効率的な仕組みだった。だが、大規模生産、単品量販化といった環境の変化に応じた変化がなされず、現状にそぐわなくなっている。その結果、流通システム全体に大幅なムリとムダが生じている。
そうした状況に陥った複数の問題を明らかにし、整理していきたい。
まず、流通の問題のうちで最も根本的な問題は、流通を二分する見えざる“壁”があることだ。この“壁”が、生産地の情報を消費者に、消費者の情報を生産地に届かなくしている。そして、生産者が、消費者の求める農産物を生産する戦略を立てることも、実行に移すことも困難にしている。
その“壁”とは何か──。農産物の流通におけるプレーヤーは2つに分類できる。1つのグループは、農業協同組合(JA)や業者などの「集荷団体」および「卸売市場」だ。生産者が出荷した農産物に卸売市場で値段が付くと、集荷団体と卸売市場の手数料を差し引いた額が生産者の手にわたる。つまり、彼らの手数料を支払っているのは生産者である。もうひとつのグループは、仲卸、 SMなどの量販店だ。同グループへの手数料は消費者から支払われる。
2つのグループはお金を支払ってくれるほうを向き、互いに背を向けて商売をしている格好だ。この見えざる“壁”により、双方にとって情報が断絶しているのだ。
集荷団体と卸売市場にとっての最大の関心事は、