ブレーキ機能も否定する
イオン(千葉県/岡田元也社長)が次世代の経営幹部を育成するための社内機関「イオンDNA伝承大学」を開校するなど、今、流通業界では企業風土や企業遺伝子を見つめ、整理し、承継しようという動きが顕著になっている。
日本に大手チェーンストア企業が産声を上げてから半世紀余。創業者が現役を退き、その薫陶を受けた者たちも徐々に社を去っていく中で、「古き良き伝統」をしっかり引き継ぎたい、という意志の表れだろう。
だが、企業風土や企業遺伝子は、時に斬新な発想を踏みつぶすブレーキ役としても機能してしまうから要注意だ。
「創業者はそうじゃなかった」「過去にそんなことはしたことはない」という理由から、多くの企業で新規事業の芽がどれほどつぶされたことか?
そこにいくと、イオンの「大黒柱に車をつけよ」、セブン&アイ・ホールディングス(東京都/村田紀敏社長)の「変化への対応と基本の徹底」という2つのスローガンは、そのブレーキ機能自体も否定しており、簡にして要を得ている、と感心させられる。
『チェーンストアエイジ』誌2012年9月15日号
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