大事なのは、発想の転換である
ちょうど1年前(2011年3月10日)のBLOGでは、多くの企業のネットスーパー事業は赤字であると指摘し、早期に黒字化できるビジネスモデルを確立する必要性があると書いた。
「黒字化している」と発表している企業も、その実態は、さまざまな経費の付け替えで表面上儲かっているように見せているだけであり、単独事業としてのネットスーパーの損益計算書は大抵赤字であると――。
ところが取材をしているうちに本当に黒字化している企業もなくはないことが分かってきた。
共通しているのは、《法人需要》を獲得していることだ。
たとえば、酒類の宅配事業で快進撃を続けるカクヤス(東京都/佐藤順一社長)の場合、一般消費者から1日当たり約1万5000件(1店舗当たり100件)に上る宅配の依頼があるにもかかわらず、ここだけを取り出すとなかなか利益が上がっていない。
ところが業務用などの《法人需要》と抱き合わせることで、1配送当たりの単価や買い上げ点数が上がっており、ひいては利益率がアップし黒字化しているのだそうだ。
また、「黒字化している」と豪語する別の企業を訪ねた時も、「ある学校と契約しており、その大きな売上と利益があるから、利益を出すことができている」と経費構造の実情を教えてくれた。
とかくネットスーパーというとB2C(一般消費者取引)のビジネスに傾倒してしまいがちなものだが、B2B(企業間取引)も視野に入れ、利益源を確保しながら、儲かるビジネスモデルを探るという手法もあるのだと驚かされる。
やっぱり、大事なのは、発想の転換である。
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