新領域を切り開く? グリーンビーンズ、ビオラルカフェが進む独自路線とは
スーパーマーケット業界は、新たな事業領域への挑戦が注目を集めています。それも手がける当の企業にとって新領域というだけでなく、業界的にも新しい領域を試みるチャレンジです。
イオングループのオンラインマーケット事業「Green Beans(グリーンビーンズ)」のサービス設計は、ネットスーパーでもない、生協宅配でもないものです。セブンーイレブン・ジャパンが予定する「SIPストア」は、コンビニでもない、小型スーパーでもない、大型コンビニという業態です。ライフコーポレーションのビオラル事業は、専門店だけでもない、スーパーマーケットだけでもない仕掛けとして拡大しており、最新の有明ガーデン店(東京都江東区)では、外食と内食をつなぐようなカフェ機能を導入しました。
まだヴェールを脱いでいないSIPストアはさておき、グリーンビーンズとビオラル事業について、それらが既存のものとは異なるポイントを整理したいと思います。
グリーンビーンズ 目指すのは、まとめ買いの継続利用
グリーンビーンズは注文から配達までのリードタイムを、翌日から14日先までとしました。日付をまたいだ直後の深夜に注文すれば当日の夕方以降にも配達してくれますが、ほぼ翌日のようなものです。一般的なネットスーパーのように、即日配送を売りにしません。
つまり、来店できない人が数時間以内に必要な商品を買うためのサービスではないということです。翌日から14日先までの間で、利用者それぞれの計画性に基づいて購入するためのサービスです。一方で、生協宅配のように配送機会を週に1回に絞ることもしませんでした。
計画的に買うとなれば、買上点数は増えてくるはずです。だからこそ、グリーンビーンズは自社サービスについて「“まとめ買い”という新しいお買い物スタイル」の提案をうたっているのでしょう。
配送リードタイム以外の設計も、まとめ買いを促すものです。最低購入金額は4000円(税抜き)、配送料は時間帯などの違いで330、440、550円(いずれも税込み)の3段階です。購入金額が1万円を超えると送料が半額になるそうで、これもまとめ買いのインセンティブになります。
サービス稼働時の会見で、運営会社イオンネクストのバラット・ルパーニ社長は「私たちが狙っているのはお客さまに爆買い(binge shopping)していただくこと」と語っています。4000~1万円という客単価を実現することが、事業モデルの肝なのかもしれません。また4月の会見時には、太田正道副社長はユーザーの利用頻度について、1回あたりの購入ボリュームにもよるとはしつつ、「週1回を実現したい」と語っていました。
店舗を拠点としたネットスーパーよりも計画的にまとめ買いしてもらい、生協宅配よりも使い勝手よく継続してもらう。グリーンビーンズが目指す食品オンライン販売の新領域とは、そういったものかと思います。これを実現するためのMDが、生鮮の1週間鮮度保証であり、2000SKUの冷凍食品であり、最終的に5万SKUに拡大する幅広い品揃えなのでしょう。また、AIが自動ピックアップするスマートカート機能や、さまざまなレシピ提案に力を入れる目的もそこに集約されるはずです。