中内潤理事長が起こす新流通革命

2011/08/24 13:46
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 学校法人中内学園(兵庫県/中内潤理事長)は、「リテール科学研究所」(Institute of Retail Sciences)を立ち上げる。

 「最終消費者が 欲しいモノが 欲しい時 欲しい量 欲しい場所 欲しい価格で 手に入れることができる機能」を実現できる研究を科学的に行う機関と位置付けている。

 

 周知のように、中内潤理事長は、ダイエー中内功創業者の長男。1999年からダイエーホールディングコーポレーションの社長就任、2000年にダイエー取締役を退任。2003年4月から現職に就いた。

 

 中内理事長は、設立の主旨を産業界における商業の地位の低さにあるとする。

 

 「儒教的階級観念によって順位づけたられた『士』を最上位とし、『商』を最下位とする考え方が今も横行し、生活に直接影響する税制や法律また経済連合会等の構成員から見ても『商』『Retail』の地位が低いのが現実です。また、大規模メーカーは、自己の商品の生産から消費までの全過程を一つの流通チャネルと捉え、価格統制や量の統制などによる支配を行ってきました。そしてそこに生まれ研究されてきたのが、いわゆる『狭義のマ-ケティング論』でそれを研究する研究者が多く生まれました。この生産者の企業行動に対して、小売業者はチェ-ンの仕組みなどによる仕入や商品調達方法などの取引慣行を従来のものとは全く異なったものに変革し、 いわゆる『流通革命』を起しました。しかしながら、この『士・農・工・商』の意識は未だ現存し、『商』『Retail』は、単なる配給業者としての地位でしか認識されていないのが現実です」(設立主旨書より)。

 

 「日本のRetailというのは、産業として確固たる地位を確立しているように見えますが、内情はバラバラで結集しておらず、規模や就業者数が多いにも関わらずひとつの力になっていません。だからRetailの社会的地位の確立(産業としての確立)が目的のひとつ。もうひとつは、日本にRetail分野の研究者はほとんどいませんのでこの育成を図っていきたい」と中内理事長は抱負を語っている。

 

 この実現に向けて、中内理事長はRetailが産業として一致団結を図るために流通11団体(オール日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会、日本小売業協会、日本ショッピングセンター協会、日本スーパーマーケット協会、日本専門店協会、日本チェーンストア協会、日本通信販売協会、日本百貨店協会、日本フードサービス協会、日本フランチャイズチェーン協会)を丁寧に回り、協力を仰いだ。

 その結果、全11団体の後援を取り付けた。

 

 具体的な活動内容については、これから詰めていくことになるが、まず「リテール科学研究所」設立記念シンポジウムを10月20日に六本木アカデミーヒルズ49 タワーホールで開催する。

 

 講演者は、石井淳藏流通科学大学学長のほか、伊藤雅俊セブン&アイ・ホールディングス名誉会長、岡田拓也イオン名誉会長相談役、清水信次ライフコーポレーション会長兼CEO、横山清アークス社長などそうそうたる面々――。

 

 中内潤理事長による新しい形の流通革命がスタートを切る。

 

 ●リテール科学研究所

 所長:中内学園 学園長 兼 理事長 中内潤

 所在地:学校法人中内学園内(兵庫県神戸市西区学園西町3?1)/東京オフィス(東京都千代田区丸の内1?7?12)

 

 ※『チェーンストアエイジ』誌2011年10月1日号では中内潤リテール科学研究所所長のインタビューを掲載いたします。

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