イシダの「ISHIDA Mind」
京都に本社を構える計量システム機器大手のイシダは「トレイを使わない包装機」や「電子棚札」「超コンパクト卓上型自動計量包装値付機」などのヒット製品を連発している。
石田隆英さん(41)が社長に就任したのは2010年5月。石田さんは、それを機に、「ISHIDA Mind」を策定した。
「創業118年の当社には、いろいろな経営理念が混在していましたので、一度、まとめておく必要があると考え、『ISHIDA Mind』をつくりました」
三つ折り名刺サイズの「ISHIDA Mind ハンドブック」の内容を見ていくと、まず<目指すべき姿>として、『世の適社・適者』とある。
世界の人々に喜ばれ、世の中に必要とされる存在になれれば企業は不滅であるので、日々変化する状況にしっかり対応することを旨としている。その志向は、ダーウィンの適者生存の法則に通じる。
イシダの<企業理念>は、『三方良し』。自分良し、相手良し、第三者良し、というもの。社員と会社が一体となって成長・発展し、お客に満足をもたらし信頼され豊かな社会づくりに貢献できる企業を目指す。
そして<行動規範>は5つある。
1つめは『異体同心』。異体同心なれば万事を成す、という考えのもと、従業員が心を合わせ一体となり共通の目標に向かいベストを尽くせるように互いを認め合い、コミュニケーションのとれた風通しの良い職場を築くというもの。
2つめは『三現主義』。現場に行く、現物を見る、現実を知る、の3現。客観的な事実に基づいて物事の本質を見極め、お客や社会の期待に応えるというものだ。
3つめは『Speed! Speed! Speed!』。Better is better than best.(巧遅は拙速に如かず)というもので、とにかく素早く動き、素早く対応しようということだ。
4つめは『智徳一致』。高い専門性と豊かな人間性を持てというもので、それぞれの専門分野でプロフェッショナルになり、社会人として尊敬され信頼される高い品性を身につけようというもの。
5つめは『志、そして日々前身』。意志あるところに道は拓けるとし、小さくとも確実に今日の一歩を重ね、情熱をもって前進を続けようというものだ。
昨年度から第一次6カ年計画を推進する石田社長。事業分野を「計る」「包む」「検査する」「認識する」「印字する」の5つに絞り込み、最初の3年間の平均成長率は4.1%、次の3年は6.4%を計画。6年後の連結売上高は1000億円を狙っている。
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