ユニクロとテニス市場(1)
ユニクロ(山口県/柳井正社長)は、プロ車いすテニスプレイヤーの国枝慎吾選手と2年間の所属契約を締結した。国枝選手のために専用開発した競技使用のゲームウエアをはじめ、トレーニング用のウエア類などを提供する。
国枝選手の経歴は“凄い”の一言だ。
1984年生まれの25歳。9歳の頃、脊髄腫瘍を発病し、車いす生活を送ることになった。車いすテニスは11歳の時に母親の勧めで始めた。だが、そのころはテニスよりも学校の友人とのバスケットボールに夢中になっていたという。健常者の友人とスポーツを楽しむことで、“最大の武器”と言われる「車いす操作」は培われた。国枝選手の車いすのスピードには、柳井社長も舌を巻くほどだ。
2004年のアテネパラリンピックで斎田悟司選手とペア組み、ダブルスで金メダルを獲得。2006年10月のUSオープン(シングルス)を制し、アジア人初の世界ランキング1位に就いた。2007年には車いすテニス史上初となる年間グランドスラム(全豪オープン、ローラン・ギャロス〈仏〉、ウィンブルドン〈英〉、全米オープン)制覇を達成。2008年の北京パラリンピックではシングルスで金メダル、ダブルスでは銅メダルを獲得した。もちろん、現在も世界ランキングは第1位だ。
2009年4月に、日本人としては初めてプロ転向を宣言。以降、スポンサー企業を探していた。
ユニクロには実業団の陸上部があるが、特定選手との所属契約は初となる。なお、契約金については明らかにしていない。海外遠征費用をサポートしたり、ビッグタイトルを奪取した折には、ボーナスも支給するという。
「満足のいくウエアを製作してもらった。いままで以上のプレーができると思う」と抱負を語る国枝選手。
ユニクロは国枝選手同様、「世界制覇」を視野に入れ始めた。それだけに今回の契約が意味するところは大きいと見る。
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