ユニクロとテニス市場(2)
ユニクロ(山口県/柳井正社長)が「テニス市場」に目をつけていることは、同社のマーケティング能力の高さをうかがわせるところでもある。
あるデータによれば、現在の日本におけるテニスの競技人口は600万人弱とピーク時からは半分以下に落ちている。
しかし、テニス界は大きな盛り上がりを見せ、人気スポーツとして復活しつつある。
一度は引退したクルム伊達公子選手の復帰と活躍、錦織圭選手の世界4大大会への参戦などスタープレイヤーが現れている影響は大きい。また、漫画『テニスの王子様』『新テニスの王子様』(許斐剛著)のヒットや元テニスプレイヤー松岡修造のテニス塾「修造チャレンジ」がテレビで紹介されたことなどもあり、少子化にもかかわらず、ジュニア層の裾野が広がっている。
一方、既存のユニクロのウエア・グッズは、テニス競技との親和性が高いようで、Tシャツやポロシャツ、サングラスを装備する週末プレイヤーは少なくない。
「売れる商品とは、“潜在需要”を我々が発見して、我々の手でつくり出すものだと思う」と2009年度の中間決算発表時に柳井社長が話していたが、まさに言動一致のマーチャンダイジングを手がけているといえよう。
今後の注目ポイントは、ユニクロが「テニス市場」を足掛かりに、プロ競技者との所属契約を増やし、スポーツウエア・ギア市場に本格参入するかどうかだ。同社の公式発表では、「いまのところ、(プロ車いすテニスプレイヤーの)国枝慎吾選手以外とは契約する予定はない」(ファーストリテイリング グローバルコミュニケーション部 真島英郎部長)とのこと。また、国枝選手用のテニスウエアを市販する計画もないという。
だが、「2010年のグループ売上高1兆円をめざす」という柳井社長は「国枝選手のように世界ナンバーワンになりたい」と宣言している。
国枝選手と同じように、「ナイキ」や「アディダス」など強力なコンペティターと国際市場の覇権争いをする可能性は非常に高いと見る。
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