焦点:上場控えたウーバー、法に挑むスタイルは変わらず

ロイター
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5月7日、米配車大手ウーバー・テクノロジーズは創業以来、数々の不祥事にまみれてきたが、10日にニューヨーク上場を控えた現時点でもなお、法の支配に挑むような戦術を続けている。写真はロンドンで2018年9月撮影(2019年 ロイター/Hannah Mckay)

[サンフランシスコ/ケープタウン 7日 ロイター] – 米配車大手ウーバー・テクノロジーズは創業以来、数々の不祥事にまみれてきたが、10日にニューヨーク上場を控えた現時点でもなお、法の支配に挑むような戦術を続けている。

同社の新規株式公開(IPO)は米国で2014年以来、最大規模となる見通し。しかし事業の成長は減速しており、世界各地でウーバー車両を制限しようとする当局と対立しながら事業拡大を目論んでいる。

ウーバーは創業者のカラニック前最高経営責任者(CEO)の下、セクハラや幹部の不品行が相次いで発覚し、混乱状態にあった。内部の関係者らによると、コスロシャヒ現CEOはこうした社内文化の一掃で成果を挙げている。

しかし同社の事業を引っ張っているのは依然として強引な事業戦術だ。「これはDNAだ。古い習慣はやすやすとは死に絶えない」と元幹部は言う。

ただ、この手法が収益に結び付くかどうかは予断を許さない。昨年第4・四半期の売上高が前期比2.3%減少したことは、昨年通年で30億ドル以上の赤字を出したウーバーにとって懸念すべき兆候だ。

AXAインベストメント・マネジャーズのマーク・ハーグレーブズ氏は顧客向け文書で、ウーバーの経営状態は「持続的、長期的な投資家にとって明らかな魅力を持っているとは言えない」と指摘した。

ウーバーの広報はコメントを控えた。

IPO申請書でウーバーは、当局との協力姿勢や、各都市との関係の「再構築と強化」を強調。しかし世界各地で「法律および規制上の障害」が収入と成長を阻害する可能性も認めている。

<規制の限界>

ウーバーは世界各地で規制の限界を試そうとしている。

配車サービスの規制が確立していないチリでは、ウーバーの運転手が交通警察の目を盗むため、顧客に協力を求めたことが知られている。メキシコ市では、ウーバー・アプリを使える乗客数を制限する新たな安全規則に抗議。ロンドンでは、安全規則を無視して一時的に営業を禁止され、現在は条件付きで営業を認められている。

南アフリカのケープタウンでは、地元当局との対立が5年目に入った。市の当局者らによると、ウーバーの運転手は推定7万人いるが、大半は無認可で、多くは移民や難民の違法労働だ。ウーバー側は、同市の

営業認可システムが「事実上壊れている」と批判している。

<金儲け>

米国の大都市は、配車サービスによる渋滞や大気汚染、安全性の問題を懸念し、新たな規則の策定に取り組むとともに、解決策を探るため各社にデータの提供を求めている。

ウーバーはこれに抵抗。2月には、交通渋滞緩和のために配車サービスの運転手数を制限する法律を巡り、ニューヨーク市を提訴した。 創業の地サンフランシスコでは、データ提出を求める裁判所の命令に反旗を翻している。

市当局がウーバーへの強硬姿勢を強める中、ウーバーはより友好的な州の立法府に働きかけることで、市の規制回避を目論んできた。

全米雇用法プロジェクトの2018年調査によると、ウーバーおよび同業のリフトは過去4年間、配車事業を州の管轄とする法律を41州で成立させるのに手を貸した。これにより、配車企業は市の規制の一部、あるいはすべての適用を免れている。

ウーバーは現在、オレゴン州でこうした法制化を求めている。同州ポートランド市の暫定アシスタントディレクター、ノア・シーゲル氏は、法案が成立すれば、市として交通安全を確保することができなくなると言う。

シーゲル氏は、過去のウーバーの行いについて「悪感情を引きずっているわけではない」としながらも、今回の法律制定の働きかけにより「ウーバーが金儲けのためなら何でもやる」ことを改めて思い知らされたと語った。

(Heather Somerville記者、Joe Bavier記者)

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