コックス池内清和社長 先出しインタビュー(2)
昨日の続きです。
※コックス池内清和社長 先出しインタビュー 前回はコチラ!
2011年度は、過去20年間の区切りともいえるパラダイム転換の年になると思う。
まず、何が起きているかと言えば、中国一極集中のモノづくりが立ち行かなくなっている。
中国は、「世界の工場」から「世界の市場」に変貌している。賃金は上昇し、工場で働く意欲ある中国人は減ってきている。これまで、「グローバルSPA」企業は、あまり中国を向いていなかったが、ここにきて生産拠点として進出を始めた。そのことが、より一層、生産体制をタイトにしている。
また、中国市場やインド市場が巨大になったことによる原料の高騰。地球的規模で中間所得層がどんどん増えているのだから、日本の内需に目を向ける流通外資も少なくなるはずだ。
その中で、納期要求、品質要求、コスト要求が最もきつい日本の企業が中国で安価な衣類を製造することは、もう難しい。中国の工場は、要求の厳しい日本を一番後回しにするはずだ。だから、中国に偏重している日本のアパレル生産はもう成り立たない。
では、何が起こるのだろうか?
1990年代にワールド(兵庫県/寺井秀蔵社長)がオゾックやアンタイトルでSPAを始めたころは、①SPA、②QR(クイックレスポンス)、③ポイントなどに代表されるODM(Original Design Manufacturer:自分たちで生産のハンドリングをしていない)が三種の鉄則だった。
しかしながら、中国の状況変化により、この勝ちパターンは通用しなくなった。
今後、モノづくりのリードタイムは長くなり、QRは不可能になる。チャージがあがるから、低価格戦略が採れなくなる。「うまい安い」のファストファッションではなく、いいものを供給していかないと、商売は成り立たなくなるので、各社は付加価値戦略をとっていかざるをえなくなる。
もはや、生産は丸投げせずに自分でハンドリングしないと商品があがってこなくなる。
ここ10年のビジネスモデルは、ある意味で水平分業だったが、今後は、デザイナー、パタンナー、ソーシングを自分たちでコントロールできる本当の意味での垂直統合をせざるをえなくなると思う。
自社でハンドリングすればするほど差別化はできるがコストは高くつく。他社任せにすればするほど差別化はできないがコストは安くなる。このバランスの取り方が重要になる。
最終的には、「脱中国化・付加価値・垂直統合」というキーワードをパッケージにして企業戦略に組み込まなければならない。
※OEM (Original Equipment Manufacturer)は、商品の設計は小売業側が行う。これに対してODM(Original Design Manufacturer)はメーカー側が行う。
詳しくは、『チェーンストアエイジ』誌2011年3月15日号をご覧ください。
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