AIカメラでほぼ未然に防げる? 食品小売における万引きの実態
AIの活用で省人化の実現へ
山内社長はアースアイズを創業した15年以前に、保安員や万引き対策のコンサルティングを務めた経歴がある。山内氏は保安員時代、怪しいと感じた人物への声かけを行うことでロスを激減させたという。
山内氏は「警視庁が発表した万引き犯への聞き取り調査では、7割近くの万引き犯が『近くに警備員やスタッフがいたら実行しない』と答えている。小売店にとっての最たる目的は利益を確保することで、万引き犯を捕捉する必要はない」と語る。
アースアイズは、小売企業が店舗にAIカメラを導入する際、従業員に万引き犯の役を演じさせるロールプレイングを実施するサービスを行っている。万引き犯を演じることで従業員に犯人の心理を理解させ、万引きを未然に防ぐ確率を上げるねらいだ。
同社はほかにも、昨今で導入が進むセルフレジに対応する防犯システムを提供している。お客が手に持っている物体を別々に認識し、スキャン漏れを検知するとバックヤードにアラームが鳴るという仕組みだ。
各種コストの上昇が問題視される今、セルフレジのようにローコストオペレーションを実現するシステムの必要性は増している。その際に、AIを生かしたデジタル・トランスフォーメーション(DX)が必要不可欠だと山内氏は語る。
「多大なコストをかけて闇雲な数のアナログカメラを防犯用に設置しても、思うような成果につながらず費用対効果に優れないケースが多い。どういう目的があって、それを叶えるにはどのようなシステムのカメラが必要か、経営者が理解していることが大切だ」(山内氏)