1台3役の複合型に、倉庫用のサブスクも 小売の裏方業務を担うサービスロボットが続々登場
実用化に向けロボット活用現場のニーズを取り込む
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のロボット活用型市場化適用技術開発プロジェクトとして、「人と協働して軽作業をするロボットプラットフォームの開発」に取り組んできたTHK(東京都/寺町彰博社長)。同社では、産業用に用いられる部品群をコアとして、小型・軽量の 「SEED Driver」をはじめとするサービスロボット向けRT(ロボットテクノロジー)システムを提供している。そのなかで、トラックから商品を倉庫に搬入する際に、人に代わってその作業を担うロボットの試作に取り組んできた。
「一定レベルのものになってきたので、実用化に向けての現場のニーズを引き出すために、今回、出展した」(担当者)
四角い形状で堅いものと、柔らかく形が安定しないもの、それぞれをつかむための2種類のハンドを備えており、前者であれば2㎏、後者なら500~600gまでを、指定された棚に収めることができるという。また、段ボールや折りたたみコンテナに入った状態であれば12~15㎏まで搬送できる。
「現在のところ、納品作業の初心者と同じくらいのスピードと精度だが、平均的なスキルをもった人のレベルまでは引き上げられる」(同)
数年内のサービス提供をめざしているが、現実的な環境のもとでの実証実験を実施する場がないのが課題だという。
月額制のロボットサービスが登場
物流波動や倉庫の計画に応じて、倉庫内のレイアウトを変更することなく、必要なときに、必要な分だけ利用できるロボットサービスも登場している。
中国のSyrius Roboticsが開発し、日本国内では三菱商事ロジスティクス(東京都/藤咲達也社長)が代理店となって展開を図る、月額制倉庫ロボットサービス「Roboware」だ。
指示を受けたロボットは、受け取りおよび配送のために指定された棚へ移動する。バーコードスキャンシステムとディスプレイを備えており、近くにいるスタッフが、指示された商品をピッキングし、カゴの中に入れる(あるいは、その逆の作業も可能)。そこでロボットは、次の目的地に向けて移動を開始する。これまでは人が棚から棚へ走り回って作業していたものだが、その移動部分をロボットが代行するというイメージだ。
ロボットにはセンサ、カメラが搭載されており、人が近づいてきたり、障害物がある場合には、検知して、迂回したり、止まったりして、危険を回避する。19年にグッドデザイン賞を受賞しており、見た目もスタイリッシュ。右折、左折時にはウインカーを点滅させる。
「商品の種類にもよるが、6台以上、稼働できる倉庫スペースがあれば効果をあげられる」(担当者)という。