イオン九州とトライアルがデジタル領域で異例のタッグ! “競合の壁”を超えた協業の行方
イオン九州柴田社長の危機感が”競合の壁”を超えた連携生む
他方で、イオン九州がトライアルにアプローチした理由は何か。岩下氏によると、同社の柴田祐司社長のコミットメントが大きいという。人口減少や競争激化など、地方の小売業の経営環境がますます厳しさを増すなかで、「危機感を強くしていた柴田社長から、同い年でもあるトライアルの永田(久男)会長に声をかけた」(岩下氏)
一方のトライアルにとって、イオン九州からの申し出は渡りに船であったようだ。永田会長の長男でトライアルのグループ会社Retail AIのトップを務める永田洋幸氏は、「もともとトライアルはオープンイノベーションの考えのもと、他の流通企業とのつながりを持ちたかった。まさかイオン九州さんから声をかけてもらえるとは」と頬を緩めた。
「九州の物流DX」に向けても協業へ
もっとも、2社の取り組みは緒に就いたばかりで、サイネージの共同活用による効果測定などは今後具体的に進めていく計画。さらに2社の間には、九州内の物流の効率化をねらった「物流DX」に関する共同の取り組み計画についても検討を始めているという。
競合の壁を打ち破り、ビジネスの革新と顧客体験向上のためのデジタル戦略において共に歩み始めたイオン九州とトライアル。異例のタッグを組んだ2社が、九州の、あるいは日本における小売ビジネスや買物行動にどのような変革をもたらすのか注目だ。