高層マンションが立ち並び、東京でも屈指の高所得エリアとして知られる豊洲。豊かなマーケットとあって近年は大手スーパーが進出するなど競争が激化している。本稿では同エリアで確かに存在感を放つ「フードストアあおき東京豊洲店」(東京都江東区:以下、東京豊洲店)の売場をレポートする。後半は鮮魚、精肉、総菜を詳しく見ていきたい。
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鮮魚は品揃えにメリハリ
鮮魚は、店奥壁面に沿って約30尺スペースで展開する刺身コーナーがメインとなっている。本まぐろの中トロが入った「4点盛り」(1380円)など刺し盛りが7SKU、マグロの刺身が15SKUのほか、単品アイテムも充実させるなど多彩な品揃えで選ぶ楽しみを提供している。
刺し盛りセットは容器いっぱいに刺身が盛り付けられており、ボリューム感が一目でわかる。本マグロは鹿児島産の養殖物の生タイプ、地中海の冷凍解凍タイプの2種類を揃える。そうした情報もラベルシールで一目でわかるようにしており、お客からすれば非常にわかりやすい商品づくりがなされているのも特徴と言っていい。また、突き出し陳列で生シラスを配置するなど、地元である静岡を意識した訴求も行われていた。
平台では、年末を意識した数の子を展開しており、一定のフェース数を確保して陳列することで、認知度の向上、想起購買を仕掛けているようだ。干物コーナーも充実の品揃えとなっている。即食ニーズに対応する総菜コーナーも設けられており、干物コーナーで並んでいる商品と同じシールが貼られた焼き魚を並べていた。干物は定番のアジやサバをはじめ、金目鯛など高級魚も揃える。
丸魚は売場最終の壁面で、一通りの品揃えはされているものの、ボリューム感を意識した展開はされておらず、パッキングされた商品のみの取り扱いだった。全体的にきめ細やかな商品化や情報発信を行いつつも、品揃えのバランスはメリハリが効いており、お客にとって選びやすく、買いやすい売場と言えそうだ。
牛肉に存在感の精肉売場、見た目の鮮やかな商品を差し込む総菜売場
精肉は鮮魚から続くかたちで牛肉が約18尺と、こちらもスペースをしっかり確保して売場を展開し、存在感がある。「ステーキ」「焼き肉」「すき焼き」と用途別のグルーピングとなっており、山形、鹿児島の国産2種をメインに、輸入牛を織り交ぜた構成となっている。その中でもとくに目を引くのがA5ランクアイテムだ。シールを貼付して品質の確かさをアピールしている。ジャンボパックや小分けサイズはなく、1アイテム1量目が基本となっていた。
牛肉の隣では、イノシシやカモといったジビエ系のアイテムを期間限定で取り扱っており、さらに奥に進むと、牛肉コーナーより背の高い多段ケースで、豚肉、鶏肉を展開する。豚肉と鶏肉はいずれもブランド肉が中心で、2種類以上の取り扱いで品揃えの幅を広げている。こちらも牛肉と同様、1アイテム1量目であった。色分けされたショーカードや重点商品では詳しい商品説明が記載されたPOP掲示するなど、視覚的な区分けを行うことで、精肉で起こりがちな乱雑な印象を解消する工夫もみられた。平台では、切り落としをはじめとしたお買い得品やローストビーフといった総菜系のアイテムを販売していた。
売場最終コーナーは、総菜とインストアベーカリーである。オープン型のバックヤードとなっており、調理場の動きが売場から見えるようになっており、賑わいを生み出している。商品ラインナップは全体的にベーシックな商品が中心だが、「パエリア」や「油揚げ五目巻き」など、見た目の鮮やかな商品が差し込まれており、魅力的な売場となっている。油揚げ五目巻きは、商品をカットして、中身がわかるようになっている。このようなひと手間かけた商品化も、あおきのイメージアップにつながっていると言っていい。デザートでは、あおき自家製のアイテムを揃えており、焼プリンや杏仁豆腐は定番の人気の商品となっているようだ。
東京豊洲店では、どの部門も通路幅をしっかり確保しながら、高さのある立体的な陳列で視覚的なインパクトを与えており、お客にとっては選びやすい売場となっている。売場全体を通して、豊富な品揃えをベースに、メリハリのある重点商品のコーナー展開と陳列、商品の価値を判断しやすいPOPでの情報発信が徹底されており、それが店の魅力となっている。
(店舗概要)
所在地 東京都江東区豊洲2-1-14
開店日 2006年10月
営業時間 10:00~22:00
アクセス 「豊洲」駅から徒歩約3分