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わずか約3カ月!スピード居抜き出店したイオンスタイル河辺の革新性!

イオンリテール(東京都/井出武美社長)が8月9日、東京都青梅市に総合スーパー(GMS)業態の「イオンスタイル河辺」をオープンした。3 月に「イオンスタイル上麻生」、4 月に「イオンスタイル幕張ベイパーク」「イオンスタイル美園三丁目」、7月には「イオンスタイル新井宿駅前」「イオンスタイル岡山清江」を出店するなど、今期も出店攻勢を緩めない同社。GMS退店跡への居抜き出店となった最新店舗ではどのような売場づくりをしているのか。

イオンスタイル河辺の外観。駅に続く歩行者デッキと直結している

「河辺とうきゅう」の跡地に出店! 駅直結の好立地

 イオンリテールが今回出店したイオンスタイル河辺は、JR青梅線「河辺」駅から徒歩1分の場所にある。駅から続く歩行者デッキと店舗2階入口が直結する好立地の店舗だ。

 東急ストア(東京都/須田清社長)が運営していたGMS「河辺とうきゅう」(2007年開業)が19年4月に閉店。その退店跡にイオンリテールが居抜き出店した。地上8階建ての建物で、1~4階が売場(直営は2~3階)、5階~屋上が駐車場となっている。なお、東急ストアの退店跡への出店は同社初だという。

 特筆すべきは改装期間の短さだ。河辺とうきゅうが閉店したのが19年4月30日。約3カ月後の8月9日にはイオンスタイル河辺として新装オープンしている。イオンリテール南関東カンパニー東京山梨事業部長の石河康明氏は、「通常(の居抜き出店)は6カ月ほどの期間をかけて行うが、今回はお客さまにご不便をかけないようにするために、急ピッチで作業を進めた」と話す。

 3カ月間の“突貫工事”だったこともあり、イオンスタイル河辺では旧店の河辺とうきゅうから多くの設備を引き継いでいる。同社広報によれば、一部は新規導入したものもあるとのことだが、2階食品売場のグロサリーのゴンドラや生鮮食品の冷蔵ケースの多くは東急ストアから受け継いでいるという。

総菜売場内の総菜専門店「日本一」も河辺とうきゅう時代から続くテナントだ

 さらに、従業員約40人を河辺とうきゅうから引き継いでおり、「ダイソー」「文明堂」「伊藤園」といった顧客からの支持のあった専門店テナントも旧店から継続営業している。旧店が閉店するには業績面でそれなりの理由があるわけだが、イオンリテールとしては、初期投資をグンと抑えて出店できた格好だ。

 イオンスタイル河辺では、店舗からクルマで10分圏内を商圏と設定している。ここに居住する約3万7000世帯/約8万4000人と、「河辺」駅の利用者をターゲットに据える。ちなみに、「河辺」駅は青梅線屈指の利用者数を誇る駅であり、1日平均乗降客数は2万7000人を数える。

 競合店としては、約100mの至近に総合スーパー「西友河辺店」がある。また、東京都青梅市は「スーパーオザム」を運営するオザム(東京都/小澤国生社長)のドミナントエリアであり、イオンスタイル河辺の周辺にも複数の店舗を展開している。さらに、約1.8km離れた場所には、食品スーパーの「ヤオコー青梅今寺店」もあり、競争は激しい。

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写真で見るイオンスタイル河辺

店の“顔”に「ここdeデリ」を配置!

 直営食品売場を中心に、イオンスタイル河辺の売場を見ていこう。2階食品売場の売場面積は旧店とほぼ同じとなる約600坪。旧店から最も変わったのが、2階入口付近の売場である。

店舗入口最前面に「ここdeデリ」を配置している

 この入口は駅から続く歩行者デッキと直結する、いわば店の“顔”とも言える売場。東急ストアが運営していた頃は、総菜や菓子といったテナントで構成する“専門店ゾーン”となっていたが、イオンスタイル河辺では最近の新店や改装店で導入を進めている即食ゾーン「ここdeデリ」を配置した。

 既存の「ここdeデリ」では「ペルグラーノ」「ガブリングステーキ」といった、注文を受けてから調理したメニューを提供するバイオーダー方式のコーナーを導入している店舗も見られるが、イオンスタイル河辺では量り売り総菜の「リワードキッチン」「カレーバー」とイートインで構成する。インストアベーカリーについては、河辺とうきゅうの頃から入居するテナントがあることから直営売場は設けていない。

量り売り総菜の「リワードキッチン」

 店舗奥に歩を進めると、「ここdeデリ」と連動するかたちで展開する、総菜売場と青果売場が見えてくる。青果は最前面に旬の果物を配置するなど基本を徹底した売場で、取材時はぶどうやマスカット、梨などを平台で訴求していた。また、グループとして販売に力を入れる有機野菜も充実させており、プライベートブランド「トップバリュグリーンアイ」のほか、あいづ有機農法生産組合の有機野菜ブランド「七人の百姓」の野菜をラインアップする。

オーガニック野菜を充実させている。写真は有機栽培野菜ブランド「七人の野菜」の商品

 総菜は、実験的な商品政策(MD)は導入せず、既存店の人気商品中心としたレギュラーのラインアップを展開する。

女子栄養大学監修の健康弁当を販売
オリジン弁当の人気商品「のりチキン竜田弁当」を販売
「枝豆のとうもろこしのつまみ揚げ」のような旬の食材を使った商品も揃える

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鮮魚、精肉、グロサリー売場をレポート

旧店時代の人気商品もラインアップ

 続いて、主通路沿いで展開する、鮮魚・精肉売場を見ていこう。総菜と同じく、両部門とも標準の品揃えだが、近隣に価格訴求型のスーパーである西友(東京都/リオネル・デクスリー社長)が店を構えることもあって、グレードの高い商品も一部で品揃えしている。精肉売場で販売する「シャトーブリアン」はその一例だ。

丸物を充実させた鮮魚売場
競合との差別化を意識し、牛肉の希少部位を品揃え

 グロサリー売場では、低価格が魅力の「トップバリュ」を随所で訴求しながら、河辺とうきゅう時代から支持を集めていた地場商品も差し込んでいる。東京・奥多摩地区のご当地グルメである「御嶽汁」をフリーズドライにした商品は、旧店で年間数千個を売り上げていたヒット商品であり、イオンスタイル河辺でも継続して取り扱っている。

人気地場商品の「御嶽汁フリーズドライ」

 約3カ月という短期間ながら、旧店を改装し、既存店と遜色ない売場をつくりあげたイオンスタイル河辺。店舗改装などの閉店期間中は、競合店にお客を取られてしまうケースが多く見られる。同店のように短期間での居抜き出店ができれば、旧店から多くのお客を引き継げる。賃貸契約の物件であれば、テナントが空いている期間を短縮できるというデベロッパー側のメリットもある。スピード居抜き出店のノウハウはイオンリテールにとって強力な武器となるのは間違いない。

 

店名 イオンスタイル河辺
店長 加藤政義
営業時間 食品・日用品 9:00-22:00、イオン薬局9:00-19:00(※土日祝は18:00閉店)
売場面積 直営:約3500㎡、専門店約5200㎡
駐車台数 509台
駐輪台数 284台