防災への気づきのきっかけに 防災グッズを通年商品で揃えるハンズの役割とは
防災グッズに加える新たな付加価値
ハンズといえば、さまざまなカテゴリーで、ちょっと気の利いたアイデアのある商品が豊富、というイメージがある。
「いまはフェーズフリーという考え方が広まっているが、当社の店内には、防災用品売場以外にも、有事の際に活躍できる商品(“隠れ”防災用品)が随所にある」という。
文房具でいえば、上向きでも、氷点下でも、しっかり書ける「加圧式のボールペン」。災害時には、ふだんよりも、メモとボールペンを使うシーンが増える、と言われている。
キッチン用品では、袋状になっているラップ「アイラップ」。少量の水やお湯でごはんも炊けるし、お皿にかぶせて使えば、食器を洗う必要もない。そのほかに、水のいらないシャンプーや手袋型のドライシャンプーシートなどもある。
防災関連の特集展開を行う際には、通常の防災用品と合わせて、これら隠れ防災用品も同じ売場に並べるケースもあるという。
今後、ハンズとして打ち出していく防災関連のキーワードに「都市型防災」がある。
首都圏のタワーマンションで、地下室の浸水により、マンション内の電気が止まってしまったというケースがあったが、都心ならでは防災への備え方を提案するのが狙いだ。
すでに、都市生活者に向けた、ハンズのオリジナル商品として、自宅で被災したときの防災入門セット「自宅待機セット」、車を一時避難スペースとして利用する際の「車載防災セット」、外出先から自宅に戻る時に必要となるアイテムをそろえた「帰宅困難者支援セット」の販売を開始している。
小松氏曰く「自宅待機セットは、耐荷重180㎏の踏み台代わりにもなる、バケツを容器にした」という。防災用品の主たる目的は、万一のときに、それを使うことにより被害を最小限に抑えることだ。
小松氏は「通年での売場展開は、防災への気づきのきっかけ。一人でも多くのお客さまに、防災用品を備えることが、どれだけ大事なことかを継続して伝えていきたい。ハンズにはそういう役割があると考えている」と話す。「ハンズに行けば(防災用品が)ある」。このイメージは確実に消費者の間に根付いている。