売上12万台!「1冊でも倒れないブックスタンド」が異例の大ヒットを飛ばす理由
長年にわたって蓄積されてきた不満を解消

日本文具大賞の機能部門優秀賞、文房具総選挙2023大賞などを受賞し、雑誌などのメディアに取り上げられたことも追い風となった。ECでの展開はもちろん、小売なら量販店や本と一緒に文具を取り扱う書店などでの取り扱いもある。「リュックサックに入れたら、中をきれいに整理できる」「推しのCDを飾ると、きれいに見える」「連続物のマンガを並べたところ、ブックスタンドが目立たず、本だけがくっきり見える」といった個人ユーザーの声が多数集まっているという。
広告は打たず、メーンの取引先である卸・小売業界に向けて商品を説明したり、大口取引先に店頭で陳列してもらうためにダミーの本を付けたりする程度の販促活動しか展開してこなかったこともあり、課題と考えているのは、商品の魅力を広く伝える発信力の弱さ。「より多くの店舗で商品を見てもらい、存在を知ってもらえるように発信していかなければ」と中村氏は話す。

以前は段ボールのケースで販売されていたが、中身が見える透明なパッケージに変更した。色も当初はアイボリーだけだったのを、白と黒を追加。「子ども向けなどに、やわらかい色もあったほうがいいという意見もあるため、カラーバリエーションも増やしていきたい」と、ラインナップをさらに充実させることにも前向きだ。
ブックスタンドにもかかわらず、本が立たずに、倒れてしまう。そのことがストレスとなり、モヤモヤしていた人がいかに多かったことか。
「1冊でも倒れないブックスタンド」がヒットした背景には、長年にわたって蓄積されてきた不満があったといえそうだ。ストッパーの可動部にも金属のバネは使っておらず、素材はすべてプラスチック。水回りの近くに置いても錆びる心配がなく、食パンなどを取り出しやすく保管しておくことなどにも使える。アイデア次第でより幅広い活用ができそうだ。
中村氏は「ユーザーの声を集め、要望を聞きながら、次の展開を考えていきたい」と話している。