公益社団法人 日本生産性本部サービス産業生産性協議会は2月21日、2021年度JCSI(日本版顧客満足度指数)第4回調査の結果を発表した。
10業種84企業・ブランドを対象に調査
サービス産業生産性協議会とは、サービス産業の生産性向上のために2007年に設立された産官学が連携するプラットフォームだ。サービス産業には、卸・小売業をはじめ金融・保険、不動産、運輸・通信・医療などが含まれ、日本のGDPの7割以上を占める。
今回の調査では、10業種(百貨店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、家電量販店、生活用品店/ホームセンター、ドラッグストア、衣料品店、各種専門店、近郊鉄道、暗号資産交換業者)の顧客満足度を、インターネットによるアンケートで調査した。
〈調査概要〉
- 調査期間:2021 年12 月8 日~12 月17 日
- 調査方法:インターネット調査
- 回答者数:26,382 人(順位に含む74 企業・ブランドの回答者は、24,225 人)
- 調査対象:全体 10 業種84 企業・ブランド
ランキング対象 10 業種74 企業・ブランド(ランキング対象は、300 人以上の回答を確保)
ヨドバシ12年連続、オーケー11年連続1位獲得 格差明らかに
10業種の顧客満足度 第1位と2位は下記の通りとなった。
なお、顧客満足度のスコアは下記の5つの指標から算出されている。
- 顧客期待 : 企業ブランドへの期待
- 知覚品質 : 全体的な品質評価
- 知覚価値 : コスト・パフォーマンス
- 顧客満足推奨意向 : 口コミ
- ロイヤルティ : 将来への再利用意向
全体的な傾向として、19年度から20年度にかけてはスコアが上昇したものの、21年度は10業種中8業種(各種専門店と暗号資産交換業を除く)で低下する結果となった。業種間比較では百貨店のスコアが最も高く、以下衣料品店、家電量販店と続く。
業種別に上位企業の順位やスコアの変化を見てみよう。
【百貨店】
阪急百貨店(阪急阪神百貨店:大阪府/山口俊比古社長)は5年連続の1位だが、スコア自体は19年度以降低下が続いている。2位の高島屋(大阪府/村田善郎社長)のスコアは横ばい。3位は三越(三越伊勢丹:東京都/細谷敏幸社長)でスコアは74.7だった。
【スーパーマーケット】
オーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)は11年連続での1位獲得。ただしオーケーと、スコア70.5で3位にランクインした西友(東京都/大久保恒夫社長)は、ともに19年度以降スコアが低下している。スーパーマーケットは全体として21年度のスコア低下が顕著だった。
【コンビニエンスストア】
セイコーマート(セコマ:北海道/赤尾洋昭社長)は6年連続の1位で、スコアは19年度以降横ばいが続いている。2位のセブン-イレブン(セブン-イレブン・ジャパン:東京都/永松文彦社長)は、21年度スコアを下げた。3位はミニストップ(千葉県/藤本明裕社長)でスコアは68.4だった。
【家電量販店】
ヨドバシカメラ(東京都/藤沢和則社長)が12年連続の1位。2位はケーズデンキ(ケーズデンキHD:茨城県/平本忠社長)、3位にジョーシン(上新電機:大阪府/金谷隆平社長)がランクインした。各店とも17年度から20年度にかけてスコアが上昇したが、21年度は低下する結果となった。
【生活用品/ホームセンター】
無印良品(良品計画:東京都/堂前宣夫社長)は2年連続での1位となった。2位はニトリ(北海道/武田政則社長)、3位はカインズ(埼玉県/高家正行社長)とSeria(セリア:岐阜県/川合映治社長)が72.3と同スコアだった。無印良品とニトリ、Seriaは、18年度から20年度にかけてスコアが上昇したが、カインズは19年度以降スコアが低下している。
【ドラッグストア】
ディスカウントドラッグコスモス(コスモス薬品:福岡県/横山英昭社長)が11年連続1位となった。2位はサンドラッグ(東京都/貞方宏司社長)で、3位はウエルシア(ウエルシア薬局:東京都/松本忠久社長)とツルハドラッグ(ツルハ:北海道/八幡政浩社長)が同スコアだった。ウエルシアは19年度以降スコアが低下している。
【衣料品店】
Honeys(ハニーズ:福島県/江尻英介社長)が3年連続の1位獲得。2位はearth music&ecology(ストライプインターナショナル:岡山県/立花隆央社長)で、3位にはGU(ジーユー:東京都/柚木治社長)がランクインした。各店とも、18年度から20年度にかけてスコアが上昇したが、21年度はスコアが低下した。
【各種専門店】
今回初めてランキング対象となったワークマン(東京都/小濱英之社長)が1位となった。2位以下は300 人以上の有効な回答を確保した企業がなかったため該当なしとなっている。なお、前回の20年度は、コロナ禍の影響を考慮して、各種専門店業種の調査は実施されなかった。
【近郊鉄道】
阪急電鉄(大阪府/杉山健博社長)が13年連続1位となった。2位は京阪電車(京阪電気鉄道:大阪府/平川良浩社長)、3位は東急電鉄(東京都/渡邊功社長)だった。各社とも19年度から20年度にかけてスコアが上昇したが、21年度はスコアが低下した。
【暗号資産交換業】
暗号資産交換業者業種は今回初めての調査となる。順位は、1位GMOコイン(東京都/石村富隆社長)、2位DMM Bitcoin(東京都/田口仁社長)、3位bitFlyer(東京都/林邦良社長)となった。