明治が5年かけて開発 「生チョコみたいなのに常温保存できる」新食感チョコの正体


正直 哲郎氏(右)、黒須 充春氏(左)
明治 グローバルカカオ事業本部 カカオマーケティング部 カカオG 正直 哲郎氏(右)、カカオ開発部 カカオG 黒須 充春氏(左)

 グローバルカカオ事業本部 カカオ開発部 カカオGの黒須 充春氏はチョコレートに対する価値観の変化について「『ミルクチョコレート』が誕生した1926年、チョコレートは非常に高価な品で、100円台から数百円台で購入できるようになったのは近年になってからのこと。当社はチョコレートをより親しみやすい存在とするためにビジネスを展開してきたが、昨今のカカオショックもあって価格が高騰し、消費者のチョコレートに対する価値観も変化している。当社は長年チョコレートに関する技術開発に注力してきたが、味わいや機能性に続く新たな領域として、生チョコレートのようなやわらかな食感と常温での長期保存可能を両立させる、新たな技術開発をすすめることとなった」と話している。

生地・成型開発に各5年 今までにない食感を生み出す

 生チョコレートのようなやわらかな食感と、常温での長期保存が可能な生地の開発には、約5年の歳月がかかった。

 チョコレートは水分3%以下、生チョコレートは水分10%以上という規定がある。明治では冬季限定「メルティーキッス」ブランドを展開している。同ブランドは油脂の融点をコントロールする独自技術により雪のようなくちどけを実現しているが、チョコレートの硬さ自体は通常の「ミルクチョコレート」と大きく変わらない。

 同社では生チョコレートのような食感を実現するためチョコレートに水分を加えることで、やわらかさと独特の溶け方をめざし開発を進めた。

 アルコール不使用かつ、常温(28℃以下)で保管可能であることを条件に、やわらかさの残る範囲で水分量を減らししつつ、乳化が安定しないこれまでにない水分領域に挑戦。試行錯誤のうえ、特許技術である「生ねり製法」を確立した。

 一般的なチョコレートは材料を混ぜ合わせるのに対し、「生ねり製法」は、カカオとミルクを強い力で練り合わせる。水分3%以下のチョコレートでも、水分10%以上の生チョコレートでもないこれまでにない水分領域であり、一般的なチョコレートよりも、口の中でゆっくりと時間をかけてやわらかく溶け、ほどよい甘さと余韻を楽しむことができる。

 またソフト生地の成型および包装の設計にも5年の歳月をかけ、最適な大きさと個包装による利便性を追求。小判形で満足感のある11g、幅は食べやすい25㎜、4枚入りを設定し、2025年5月13日、関東甲信越エリアの数量限定品として「生のときしっとりミルク」を発売した。

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