NTTドコモが提案するリテールDXの未来
「docomo Sense」の活用

「docomo Sense」では特定のエリアに訪れたユーザーを捕捉しプロファイリング分析することで、広告配信前に可視化した具体的な利用者像と類似したユーザーをドコモデータから拡張推計・抽出して効果的な広告配信の実施、事後検証に繋げることができる。さらにドコモのマーケティングイノベーション部のもと、デジタル販促やCXマーケティングプラットフォーム、アプリSaaS, リテールメディア、アドネットワーク、ID‐POSマーケティングを専門とするグループ企業6社が参画。オンライン・オフラインを横断し、生活者の行動データをシームレスにつないでいくことで、新たなマーケティング施策の機会を提供する。
流通小売企業のDX化へ向けた最適解
「ドコモリテールDXプログラム」
人口減少による人手不足や価格競争激化による利益率低下、円安など外的要因による物価高騰や光熱費の上昇といった課題解決に向け、日本の流通業界でもDXやリテールメディアに取り組む企業が増えている。しかし超大手流通企業による寡占化が進みリテール主導でDX化を推進しやすいアメリカと比べ、日本は地域密着企業が多く消費や顧客のデータが分散。それゆえに個々の企業によるDX化の取り組みが遅れている。
こうした状況を鑑みドコモでは、流通小売企業におけるバリューチェーン全体のマーケティングをサポートする「ドコモリテールDXプログラム」を2023年より提供している。
同プログラムは、ドコモが保有する会員基盤データと、流通小売企業が保有するID-POSデータを組み合わせ、統計化することで、各流通小売企業に最適なソリューションを組み合わせてバリューチェーン全体の課題解決をサポートするというもの。
主要コンテンツとなっているのが商圏および顧客の可視化が可能な「リテールDXダッシュボード」だ。自社顧客エリア分析、来店予兆分析、リピート分析、併売分析、周辺エリア来店推計、自社顧客属性分析、エリアポテンシャル分析、セグメント別売上分析、時系列売上分析、自店舗エリア来店分析といったさまざまな分析メニューをラインアップしている。利用条件があるが、これらのダッシュボードを流通小売企業の担当者がリアルタイムで利用できるのも利点だ。
このダッシュボードを活用することで自社の集客・販促施策、新規出店候補地のポテンシャル分析など流通小売企業の効果的なマーケティング活動に寄与。さらに、グループ企業のインテージとの連携によるリテールDX実行支援コンサルサービスやDearOneによる公式アプリ開発ツール「ModuleApps2.0」の提供、後述する会員アプリ向け広告配信サービス「ARUTANA」を活用した収益化支援も行う。
2024年8月にはドコモ、インテージ、ドコモ・インサイトマーケティングの3社による個人を特定することなく、プライバシーに配慮したセキュアな環境で高度な顧客分析が可能な「ドコモ データクリーンルーム」のサービスを開始している。
複数の流通小売企業公式アプリへ一斉配信
流通小売企業向けのマーケティングの中で近年特に注目度が高いリテールメディア。ドコモのグループ企業であるDearOneは流通小売企業の公式アプリに対し一斉に広告配信ができる国内初のアドプラットフォーム「ARUTANA(アルタナ)」を展開している。2業態の公式アプリ、約36000店舗、月間アクティブユーザー数約3850万にサービスを提供する。(2025年1月現在)
流通小売企業の公式アプリは店舗への来店時に起動することが多く、アプリユーザーはその店舗のロイヤルカスタマーといえる。「ARUTANA」は店舗周辺に居住する購買意欲の高いユーザー層にリーチが可能。さらに、ユーザーが自ら公式アプリを立ち上げたタイミングで広告が表示されるため、視認性も非常に高くなっている。
広告を出稿するメーカー側からみると流通小売企業1社のアプリだけではリーチ力が限られるが、「ARUTANA」に参画することで各社のアプリがネットワーク化され、消費者がアプリを開くことの多い店頭など、購買検討タイミングでの広告配信を行うことが可能だ。また流通小売企業側には、広告主であるメーカーなどからの広告収入の一部が還元される仕組みとなっており、新たな収益機会の創出に貢献する。
ドコモリテールDXプログラムの進化
2023年にリリースした「ドコモリテールDXプログラム」は、今なお進化を続けている。更に特に流通小売企業の業務効率化を促進させる機能の拡充が加速している。棚割りAIソリューション「Tanagram」はドコモデータおよびインテージデータ、ID-POSデータを掛け合わせた売上分析に基づく棚割りをAIが効率的に比較提案する機能が注目されている。また、定番・特売関連業務の自動化などバイヤーの生産性改善に繋がる機能を備えた「バイヤーアシスタントAI」の開発を進めている。
更なる「ドコモリテールDXプログラム」の提供価値拡大に期待したい。
ドコモが提供する「ドコモリテールDXプログラム」では単なるマーケティング支援にとどまらず店舗運営支援、発注仕入れ支援、MD支援最適化支援などの流通小売企業が抱えるさまざまな課題を解決することでサプライチェーン全体のDX化を促進する起爆剤として伴走支援していきたいとしている。