顧客体験のレベルを引き上げたAmazonに対応するデジタル変革の未来
消費財メーカーはD2Cで競争力の強化へ
Amazonは消費財メーカーにも脅威
急速に進むデジタル化は消費構造に大きな変化をもたらし、変化に対応するためのデジタル変革が消費財メーカーにとって最重要課題になっている。消費財メーカーが企業間(B2B)および企業対消費者(B2C)に関して、より効果的な関係を構築して競争力を高めていくためにはどのような戦略が求められているのか。セールスフォース・ドットコムは世界の消費財メーカーのリーダー500人へのアンケート調査を基に「消費財分野の情勢および進化の求められるB2BとB2Cの関係」と題するレポートを発表した。
コロナ禍で消費者のECサイトの利用が高まっている。とくにAmazonなどのマーケットプレイスを利用する消費者は着実に増えてきた。調査によれば消費財メーカーのリーダーの約6割は「リピート購入と配送に関して、従来の小売業者をAmazonが駆逐しつつある」と考え、68%が「消費者はAmazonを選択する傾向が強い」、そして79%が「消費者の期待への対応に関して、求められるレベルをAmazonが引き上げている」と回答している。
消費財メーカーにとってはAmazonで購入されたとしても、変化し続ける顧客需要にどう対応していくかが課題。レポートでは「消費財メーカーが着実に前進する上で鍵となるのは、商品の開発と流通でイノベーションを起こすこと」としている。消費財メーカーのリーダーの多くが「新たな商品やカテゴリーを開発し、迅速かつ俊敏に新市場に進出」「新しいコンセプトを、発想から陳列棚へと迅速に反映させる」ことを今後の対策として挙げている。
顧客とつながるファーストパーティデータの活用にシフト
その一方で、消費財メーカーにとって従来からの小売業との関係は、ビジネスの基盤であり収益性の面からも重視せざるを得ない。しかし、調査によれば米国で店舗内の販促やマーケティングへの投資で効果を上げているとするリーダーは48%。さらに小売業から得られる顧客データに満足して活用している消費財メーカーは少数にとどまっていて、顧客起点のデータ活用戦略を展開する上で課題となっている。
レポートでは、消費財メーカーが従来の小売業との関係性を継続的に最適化していくとともに、消費者に直接販売するD2Cの展開で収益の増大を図り、自社で得られる顧客データ(ファーストパーティデータ)の獲得と利活用によって消費者との関係性を強化して顧客ロイヤルティを獲得していく戦略が競争力の強化につながるとしている。
セールスフォース・ドットコムの今回のレポートでは、消費財メーカーが小売業との関係性の最適化を図るための方策と、顧客データの活用によって「顧客体験価値」向上を実現するD2Cに求められるデジタル戦略について紹介している。
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