小売業の収益性を高め、成長につなげるプラットフォーム戦略とは

ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局
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品揃えの拡大と顧客ニーズ検証のためのマーケットプレイスの活用

 米家電量販最大手ベストバイ(Best Buy)のカナダ法人ベストバイ・カナダ(Best Buy Canada)は、マーケットプレイスモデルによって品揃えを大幅に拡充し、家電を中心に幅広いカテゴリーの商品をワンストップで買い揃えられる利便性の高い顧客体験を提供している。

ベストバイ・カナダは取扱品目数は400万品目を超え、95%をマーケットプレイスで取り扱う

 マーケットプレイスモデルを採用した背景について、ベストバイ・カナダのECおよびマーケットプレイス担当シニアバイスプレジデント(SVP)ティエリ―・ヘイサブーリン氏は「我々は、カテゴリーの統合と拡張によって主力事業を拡大したいと考えていた」とし、「品揃えをノンコアのカテゴリーにも広げる手段として、マーケットプレイスモデルが適していた」と振り返る。

 2016年に開設された「Best Buy Marketplace」(ベストバイ・マーケットプレイス)は、カナダでナンバーワンの家電機器マーケットプレイスへと成長を遂げた。取扱品目数は400万品目を超え、そのうち95%をマーケットプレイスで取り扱う。ベストバイ・カナダにとっては、専門的な知見やノウハウのないカテゴリーでも在庫リスクを負わずに品揃えを増やせるだけでなく、新しい商品やカテゴリーをマーケットプレイス上で試験的に取り扱うことで、顧客ニーズを検証したり、トレンドをとらえられるのも利点だ。

サプライチェーン効率化のためのマーケットプレイスの活用

 英ファッションブランドのASOS(エーソス)は、Miraklのマーケットプレイステクノロジーを効果的に活用し、既存のサプライチェーンの効率性を担保しながら在庫の確保と品揃えの拡充を実現している。「ファッションを愛する20代に向けたライフスタイルの目的地」を目指して開設された「ASOS Marketplace」(エーソス・マーケットプレイス)では、「ASOS Design」(エーソス・デザイン)や「Topshop」(トップショップ)といった自社ブランドに加え、「PUMA」や「New Balance」(ニューバランス)などの有名ブランドからローカルブランドまで、約900ブランドを取り扱ってきた。2023年第1四半期の受注件数は49万件にのぼる。

ニューバランスやプーマなどの有名ブランドからローカルブランドまで約900ブランドを取り扱い、2023年第1四半期の受注件数は49万件

 2023年2月には、PumaNew Balanceといった人気ブランドがASOSのフルフィルメントセンターの在庫に依存することなく、顧客からの注文に直接対応する「Partner Fulfils」(パートナー・フルフィルズ)を英国と欧州の23ブランドに拡大した。これによってサプライチェーンに影響を及ぼすことなく、より多くの品揃えと在庫量を確保できる。ASOSでは今後も順次、「Partner Fulfils」の対象ブランドを増やしていく方針だ。

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