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まもなく最新決算が発表! 改めて確認しておきたい、GMS売上ランキング2022年

ここでは総合スーパー(GMS)の2022年(決算期は2022年2月期と6月期)の売上高ランキング(単体ベース)に合わせ、GMSの動きについて解説していきたい。2023年2月期決算発表直前ということもあり、ぜひともおさらいしておきたいところだ。なお収益認識基準会計導入により前期の数字が単純比較しにくくなっていることに注意してほしい。

構造改革に成果あり?

 ともに構造改革を進めるイオンリテール(千葉県)とイトーヨーカ堂(東京都)。食品売場を核に、専門性を高めた衣料品、住居用品、化粧品・医薬品などの売場を商圏特性に合わせて組み合わせた「イオンスタイル」として新規出店を進めるイオンリテールは、23年2月期は、過去2年間の構造改革と固定費圧縮が奏功し、第3四半期累計で前年同期から146億円の営業利益の改善を達成している(ただし営業損失136億円)。

 一方、23年2月期の通期予想では10億円の営業利益を見込むイトーヨーカ堂は、第3四半期累計の営業利益は56億円の赤字で、前年同期からは31億円悪化した。ただし、構造改革を実施した店舗では、既存店売上2.2%増、客数3.5%増と、一定の効果が出ている。

 既存店の改装、不採算店のドン・キホーテUNYへの業態転換(別会社UDリテールで運営)などにより、収益改善を進めるパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都:以下、PPIH)傘下のユニー(愛知県)は、22年6月期売上高は同4.1%減の4726億円、営業利益同11.9%減の減収減益だったが、ドンキ流の改革により、営業利益を出せる体質になってきた。23年6月期についても、第2四半期時点で売上高は同2.4%減の2394億円だが、営業利益は同18.7%増の142億円となっている。

 ユニーが運営していた「アピタ」「ピアゴ」を転換した「ドン・キホーテUNY」「MEGAドン・キホーテUNY」の運営を担うUDリテール(神奈川県)の22年6月期は売上高2103億円(14.1%増)、営業利益は1.7倍の37億円だった。

 GMS3番手の規模を誇るイズミ(広島県)は「GMSの再生・進化」を事業戦略の柱に据えているが、23年2月期第3四半期は、粗利率の改善があったものの、経費増で増収減益(ただし23年2月期より収益認識基準会計適用のため参考)となった。

 それに対し、イオン系GMSのイオン北海道(北海道)、イオン九州(福岡県)は、23年2月期第3四半期時点ではともに前期比で大幅な増益となっている。

 イオン北海道は食品分野での北海道シェアナンバーワンの獲得をめざし、21年8月に自社初となるプロセスセンターを併設したイオン石狩PCを稼働。イオン九州は22年9月、同じイオングループのドラッグストアチェーン、ウエルシアホールディングスとともに合弁会社「イオンウエルシア九州」を設立、フード&ドラッグの新しい業態開発に向け動き出している。

2022年決算を振り返り!

 間もなく、2023年決算が発表になる。23年決算から収益認識基準を適用するGMS企業も多く、とくに売上規模(営業収益)で大きく影響を受けるところが出てくることが想定されている。また、フジ(愛媛県)は22年3月から、旧フジのフジリテイリング(愛媛県)と、マックスバリュ西日本(広島県)を傘下とする持ち株会社となっており、23年の決算数値は前年とは大きく異なるものになる。

 各社決算発表を待つ前に、22年決算での売上ランキングはどうなっていたのか、ここで振り返っておこう。

GMS売上高ランキング2022 数値は原則として単体ベース、株式上場企業でグループの企業が同一業態の場合は連結ベースを採用

 売上1位、イオンリテールの2022年2月期の売上高は対前期比7.6%減の1兆8173億円だった。値上げ圧力が強まるなか、消費者の生活防衛意識の高まりに対応すべく、価格を据え置いた「トップバリュ」を拡販するなど、好調な内食需要をとらえるための取り組みを強化。最終損益は206億円と2021年2月期に続いて赤字を計上したものの、対前期比では損益を305億円も改善させた。

 2位のイトーヨーカ堂も減収に沈み、22年2月期の売上高は同1.2%減の1兆675億円だった。巣ごもり需要を受けて食品売上高が好調に推移したものの、抜本的な収益改善にはつながらず、最終損益は112億円と赤字幅が拡大した(前期は37億円の最終赤字)。

 3位はイズミ。22年2月期の売上高は同0.3%減の6328億円、当期純利益は同9.6%増の191億円だった。“GMSの優等生”として、収益性は業界トップクラスを維持しているが、感染拡大による一部店舗の土日休業や盆時期の帰省客の減少などが響き、前期に続き減収となった。

 業績を伸ばしていたのが、PPIH傘下のユニーを抜いて4位に躍り出たイオン九州だ。22年2月期の売上高は同38.2%増の4811億円で、ランクインした14社の中で最も高い伸びを示した。これは20年9月に経営統合したマックスバリュ九州とイオンストア九州の売上高が22年2月期にフルで寄与したことによる。

 23年2月期、GMSの業績、そして売上ランキングはどう変わるだろうか?