コロナ禍でなぜホームセンターは他業態よりも売上を伸ばすことができたのか?

高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
取材協力:高島 勝秀(三井物産戦略研究所 産業情報部産業調査室 シニアエコノミスト)
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4月以降は
DIY、園芸が好調

 その後、それらの商品のニーズは徐々に平常の状態に戻り、日用品の売上増は緩やかなものとなった。しかし、4月以降もHCは好調を維持している。

 この局面では、テレワークの拡大や外出自粛による巣ごもり消費の拡大で、HC業態の主力であり、在宅での娯楽という性格を有するDIY関連や園芸用品、ペット用品の売上が拡大したのである。これは、従来はDIYや園芸を積極的に行っていなかった人、あるいはペットを飼っていなかった人を新たに顧客として取り込んだことが効いたと考えられる。5月に入っても、業態全体のデータは現時点で未発表であるものの、主要企業の売上状況を見ると、従業員の確保に苦戦した一部の企業を除くと、大半が好調を維持している。

 HCは、危機時の実績からは、生活必需品を扱うエッセンシャル業態としてのポジションが明確になり、その後の外出が抑制される局面では、日常生活に快適さや娯楽を提供する商材を扱う業態としての実力も示している。その中核となるDIYや園芸の分野では、顧客は単に商品の購入だけでなくノウハウやスキルを求める傾向が強い。それを実店舗というリアルな場での実演によって提供できるという特性は、コロナ危機を経て一段と存在感を増したECとの対抗上、大きな意味を持ってくる。コロナの影響で生活パターンが変容し、消費活動の重心が在宅にシフトすることが予想されるなか、新たに獲得したDIYや園芸を楽しむ顧客を、今後も維持・拡大させることでHCは、さらなる成長を遂げる可能性を有していると言えるだろう。

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記事執筆者

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月よりダイヤモンド・ホームセンター誌編集長。ホームセンター業界のトレンドに精通しており、TV・ラジオなど数々のメディアに出演するほか、ダイヤモンド・リテイルメディアYoutubeでも業界解説動画を配信している。

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