データで見る流通
「Instagram」の企業アカウント20~40代女性の約8割がフォロー
文=辻 孝明
サイバー・バズ 執行役員
スマートフォン向け写真・動画共有アプリの「Instagram」はソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)の中でもアクティブユーザーが多いことが特徴で、消費者の商品購入時の意思決定に大きく影響を与えるメディアになってきている。
サイバー・バズ(東京都/高村彰典社長)は2017年7月、自社で提供している、SNSユーザーで構成する承認制会員サービス「Ripre」の会員626人を対象に「Instagramの企業アカウントに関するユーザー意識調査」を実施した。
その結果、20代から40代女性の80%以上がInstagramの企業アカウントをフォローしていることがわかった。詳細を見てみると、20代は92%、30代は89%、40代は82%と、どの年代も8割以上の高い割合でフォローしている。
また「企業アカウントをいくつフォローしているか」という問いに対しては、20以上のアカウントをフォローしている人が20代女性では半数を占めており、30代女性についても約4 割と、積極的にInstagramの企業アカウントをフォローしていることがわかった。また、フォローしている企業やブランドの種類について尋ねたところ、30代女性の約2割が「コンビニ・スーパー」のアカウントをフォローしていた(図表1)。フォローしている理由では「キャンペーンの情報収集のため」「投稿内容に魅力を感じるため」「友人の影響を受けて興味を持ったから」などが挙がった。
図表1 フォローしている企業・ブランドの種類(出所:サイバー・バズ 単位:%)
さらに注目したいのが、20代~30代女性の80%が、Instagramの企業アカウントの投稿をきっかけに購入に至った経験があると回答したことだ。
具体的な購入内容については、コスメ、食品・飲料、日用品、ファッション、旅行予約など、幅広いジャンルにわたっている。
加えて、「Instagramでフォローしている企業・ブランドの商品を購入する機会は、フォロー前よりも増えたか?」という問いに対しても、20代~30代女性の70%以上が「フォロー前よりも購入機会が増えた」と回答した(図表2)。その理由は「よく目にすることで親近感を感じるようになった」「商品を欲しいと思うことが多くなった」などで、企業・ブランドに対するポジティブな意見が多く挙がった。
図表2 Instagramでフォローしている企業・ブランドの商品を購入する機会はフォロー前よりも増えたか(出所:サイバー・バズ 単位:%)
これらの調査の結果により、Instagramの企業アカウントを通してユーザーとの接触機会を増やすことで、ブランドイメージの向上や店頭での商品の想起などの効果があり、商品の販売促進につながると考えられる。
食品スーパー(SM)でのInstagram活用については、本部でアカウント運用を行うことも重要だが、各店舗で地域に密着した情報を投稿すればより来店者の関心を集められ効果が期待できるだろう。
また、商品を仕入れる際の情報収集ツールとしてもInstagramを活用したい。消費者の投稿からリアルな消費傾向をタイムリーに把握することができ、品揃えに反映させることが可能になる。
今後は店頭に加えて、SNSやインターネット上で消費者とコミュニケーションを図ることが、商機拡大のために重要になるだろう。
(「ダイヤモンド・チェーンストア」2017年10/15号)