本誌の恒例企画「ダイヤモンド・チェーンストア編集部が選ぶ流通業界10大ニュース」をお届けする時期となった。2021年は前年に続き、新型コロナウイルス感染の動向に翻弄された1年だったと言っていい。足元では変異株の感染が広がっており、予断を許さない状況が続いている。ただ、そうした不透明な状況下でも大型M&A(合併・買収)、新業態の開発、未出店エリアへの進出などにより、さらなる成長をめざす企業がみられた。2021年の流通業界をにぎわせたニュースを振り返ってみたい。HD=ホールディングス
関西スーパーの“争奪戦”H2Oが逆転劇を制す
2021年の流通業界10大ニュース第1位は「オーケー vs H2O、関西スーパー争奪戦が勃発」だ。6月にオーケー(神奈川県)から株式公開買付(TOB)の提案を受けた関西スーパーマーケット(兵庫県、以下:関西スーパー)が8月、筆頭株主であるエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府、以下:H2O)の子会社となる意向を示したことから始まったこの争奪戦。経営統合の是非を問う関西スーパーの株主総会での「白票」の取り扱いが不明瞭だったことを根拠に、オーケーが株式交換差し止めの仮処分を申し立て、これを地裁が認めるなど事態は一時混乱を極めた。12月14日、最高裁判所がオーケーの許可抗告を棄却すると決定したことで、なんとか年内にH2Oの勝利で決着がついた格好だ。
晴れて経営統合が決まったH2Oと関西スーパーは、12月15日に株式交換を実施。関西スーパーは22年2月に発足する持株会社「関西フードマーケット」に商号を変更し、その傘下に新事業会社の関西スーパー、H2O傘下のイズミヤ(大阪府)、阪急オアシス(大阪府)の食品スーパー(SM)事業会社3社が入る。その結果、単純合算で売上高4000億円以上の、関西最大規模となるSM連合が誕生することになる。地盤を同じくするH2Oとの経営統合でどこまでシナジーを生み出すことができるか。オーケーと新生関西スーパー、争奪戦が終結して、それぞれの今後が注視される。
続く第2位は、「ヤオコー
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