ハラル食品の可能性は無限大!? 小売企業に求められる「ムスリムフレンドリー」な対応
「ハラル食品=イスラム教徒向け」という誤解

さらに、流通や小売の現場では、ハラル食品の取り扱いが十分に進んでいるとは言えないのが現状だ。この理由について、佐久間氏は「ハラル食品は非イスラム教徒でも問題なく食べられるにもかかわらず、『ハラル食品はイスラム教徒向け』という誤解がある。小売業のバイヤーや店舗担当者の間でも、この誤解が解消されておらず、小売業界においてハラル食品の取り扱いが進んでいないのではないか」と指摘する。
流通の問題も大きなハードルとなっている。たとえば、ハラル食品を輸出する際には専用のパッケージが必要になるが、国内市場の流通では異なる仕様のパッケージを求められることが多い。この違いがコスト増の要因となり、企業がハラル食品市場に参入しづらい状況を生んでいる。
こうした課題があるものの、ハラル食品の普及に向けた取り組みも進んでいる。
たとえば、観光庁の実証実験では、ホテルやレストラン、お土産店などが独自にハラル対応ポリシーを導入し、それに基づいてハラル対応メニューを提供するなど、ハラル対応の方針を明示している。そのほか、大手コンビニエンスストアのローソン(東京都/竹増貞信社長)では、商圏にイスラム教徒が多い「ローソン相武台前南口店」(神奈川県座間市)でハラル食品のスパイスやスナックを販売している。
とはいえ、全国規模の小売業では、まだ本格的な動きは見られない。「小売大手が本格的に取り組めば、全国の消費者にハラル食品が届くようになる」と佐久間氏は期待を寄せる。






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