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ハラル食品の可能性は無限大!? 小売企業に求められる「ムスリムフレンドリー」な対応

阿波 岳 (ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者)
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日本には30万人以上のイスラム教徒がいると推定されており、その数は年々増加している。イスラム教徒にとって日常生活で欠かせないのが、イスラム教の戒律に則った「ハラル食品」だ。訪日客の増加も背景に、近年、日本国内ではハラル食品の需要が高まっている。ハラル食品市場の展望について、ハラル・ジャパン協会代表理事の佐久間朋宏氏に聞いた。

世界で統一の基準が存在しない「ハラル認証」

 イスラム教徒にとって「ハラル」は、戒律に従い「許されたもの」を指し、行動、嗜好、生活全般における指標となる。食に関しては、野菜や果物、魚、特定の条件下で処理された肉類などが「ハラル」とされる。一方で、豚肉やアルコール、またそれらの成分を含む食品は「ハラム」と呼ばれ禁忌とされる。

 そのため、イスラム教徒がハラル・ハラムを容易に判断できるよう、宗教と食品衛生の専門家がイスラム教の戒律に従っていることを保証する「ハラル認証」という制度がある。

 ハラル認証の制度は国や地域によって異なる。マレーシア、シンガポール、インドネシアでは、政府機関が直接認証を行う。一方、オーストラリアでは政府が認定する団体が認証を担う。このような事情から認証基準は統一されておらず、世界共通の基準は存在しない。日本では、NPO法人や一般社団法人などが独自の基準でハラル認証を発行しており、制度がさらに複雑化している。

世界のハラル認証

 こうした状況について、佐久間氏は「本来、ハラル認証は『安全・安心のマーク』としての役割を果たすものだ。しかし、イスラム教徒の多くは、食べるものがハラルであるかどうかを最終的には自ら判断している」と話す。

 佐久間氏によれば、イスラム教徒の多くはアレルギー表示やピクトグラム、英語表記があれば、認証がなくてもハラルかどうかを判断できる。そのため、ハラル認証が必ずしも必要というわけではないという。ただし、日本では成分表示の対応が不十分であるケースも多く、イスラム教徒が商品を選びにくい状況にある。

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記事執筆者

阿波 岳 / ダイヤモンド・チェーンストア 編集記者

大学卒業後、社会の荒波にもまれる日々を経験。そこで書籍や会報誌の編集に携わるうちに、メディア事業への興味が芽生え、今に至る。
趣味は喫茶店巡りと散歩。喫茶店での一杯のコーヒーや、街角の散策を生きがいとしている。
これまで全都道府県を制覇するという小さな目標を達成した。何かを極めたり、制覇したりすることには、なぜか人一倍の熱意を注いでいる。
最近の悩みは、ここ数年で増えた体重との戦い。健康の大切さを意識しつつも、喫茶店のコーヒーに合わせたスイーツや、ランチの大盛りがやめられない。今日もまた元気に「大盛で!」と注文しつつ、明日こそ控えめにしようと心に誓っている。

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