こんにゃくとキクラゲから…代替卵ベンチャーが描く未来 UMAMI UNITED JAPAN
動物性食品を代替するプラントベースフードへの注目度が高まる中、多機能かつ多用途の「卵」を代替する素材を提案できるプレイヤーは、世界でもまだ稀だ。2021年12月にシンガポールで創業し、22年3月に日本法人を設立したスタートアップ、UMAMI UNITED JAPAN(東京都渋谷区)は、こんにゃく粉とキクラゲを使用した独自の代替卵を開発し、その名のとおり「旨味」のある代替卵で世界を驚かせた。
「誰もが一緒に食事を楽しめる選択肢が少ない」課題感から生まれた代替卵
UMAMI UNITED JAPANは、「ONE TABLEで未来を創る」をミッションに掲げ、21年12月にシンガポールで創業した「UMAMI UNITED PTE.LTD」の完全子会社として23年に設立されたフードテックスタートアップだ。同社の代表取締役である山﨑寛斗氏は、創業のきっかけについて次のように語る。
「創業のきっかけは、学生時代にボランティアガイドをしていた頃に遡る。アレルギーやヴィーガンなどさまざまな背景から、多様な食のニーズがあることを目の当たりにする一方で、誰もが一緒に食事を楽しめる選択肢が少ないことに課題を感じていた。食を通じてより良い未来を創造したい。そんな想いから創業した」(山﨑氏)
共同創業者であり、同社の最高技術責任者を務める大場國弘氏は、食品メーカーで長らく発酵酵素の研究などに携わってきた人物だ。大場氏は、卵特有の保水性やゲル化による固形化といった機能を、こんにゃくという日本らしい素材を使って再現。さらには、酵素処理を応用することで、コクや「UMAMI(旨味)」のもととなるパウダーをキクラゲから抽出し、植物性代替製品にありがちな味気なさを解消することに成功した。現在は、大場氏を筆頭に3人体制で を進めている。
植物性ミルクなどと混ぜ、総菜や製菓に使用できる「UMAMI EGG」、植物性ミルクと混ぜて3つの工程で作れる「らくぷりんミックス」、卵黄の味わいを感じさせる植物性原料100%の粉末「UMAMI EGG FLAVOR」がある。
「UMAMI EGG」と「らくぷりんミックス」には添加物を使用しているが、一般的に馴染みのある食材で消費者に対して説明できるもののみを採用した。そのうえで、例えば「アルギン酸ナトリウムとカラギナンは海藻から得られる多糖類」「硫酸カルシウムと塩化マグネシウムは豆腐を作る際のニガリのような凝固剤として使用されるもの」といった補足説明が添えられている。