教えて本多利範さん!「商品の値上げは、価値をいかに付加するかが重要なポイント」

2024/02/21 09:11
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「ステルス値上げ」は厳禁

 本当に欲しいと思えば人は買物をする。ただし値上げが続けば、家計には大きな負荷がかかるのは避けられない。生活者は、いかに節約し値上げ分を吸収するかが、買物を決断するあたってのポイントになる。

 最近、面白いと思ったのはラーメンの食べ方だ。肉や野菜を加え、ラーメン店で出されるように自分でアレンジして袋麺を楽しむ人が多いそうだ。値上げの中でも、各人が工夫しているのだろう。

 こんな状況の中、価格を変えずに容量を減らす「ステルス値上げ」の手法を使うのは厳禁だ。すぐに生活者から見抜かれ、見放されるきっかけになる。小商圏の時代にあり、お客が離れることは致命的である。やはりお客との信頼関係を守りながら、求められる価値を商品に付加して値上げを乗り切ることが大切なのだ。

 うまく価値を付加しながら、値上げしたケースで思いつくのは、「セブン-イレブン」の入れ立てコーヒーだ。2022年春、値上げに踏み切る際、価値を提供することで、お客の満足度を高めることに成功した。

 具体的には、コーヒーマシンを入れ替え、濃度を調節できるようにした。同じコーヒーでも、朝は濃いものが飲みたい人もいる。しかし夜は濃いと眠れなくなるため、少し薄めがいい。値上げ後、売上が伸びているとのことで、生活者にも受け入れられたのだと思う。

 同じカテゴリーでも「松竹梅」のような品揃えを工夫するのも一案だ。私は、これを「三階建てマーケティング」と呼んでいる。お買い得商品、標準的な商品のほか、こだわり商品も揃えると、多様なニーズに応えることができ、結果として売上を伸ばすことができる。

 いずれにせよ、いかに付加価値を高めるかが、生活者から支持を得るための重要な施策になる。

本多利範さんの書籍「お客さまの喜びと働く喜びを両立する商売の基本」

商売の基本_書影本多 利範 著
定価:1650円(本体1500円+税10%)
発行年月:2022年03月
ページ数:276
ISBN:9784478090787

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