高齢者も少なくない生花店への発注をデジタル化した「花キューピット」の工夫とは
「クールなサービス」として注目を集める花キューピット
インターネットなどでの注文受付業務などを展開する花キューピット株式会社の吉川登社長は「生花の通信販売はほかにいくらでもある。しかし、そのほとんどが宅配便によるお届けになっているのに対し、花キューピットは届け先の最寄りにある花屋さんが直接届けてくれる。単純にトラックなどによる配送距離は短くなり、それだけCO2の排出量抑制につながる。今風に言えば、SDGs的なサービスだ」と70年前に生まれたサービスが実は今の時代にこそ合っている点を強調する。同社は、2005年、当時、インターネットビジネスの立ち上げに力を入れていた住友商事(出資比率51%)と、花キューピット協同組合(同49%)によって設立された。現在は、JFTDの100%子会社となっている。
吉川社長は、70年前に生まれた花キューピットのビジネスモデルを、いま流の言葉に置き換えて再定義する。
ひとつは、先ほどのCO2排出抑制につながる部分だが、注文1件1件に応じ、その届け先に近い加盟店が届けるという仕組みはUberEatsや出前館、Woltに代表される「デリバリーサービス」に近いものがある。
また、生花のお届けものを、「花キューピット」というサービス上で一手に引き受けてしまおうというのは、まさしく「プラットフォーム的考え方」であり、A店(あるいは「花キューピット」のシステム)で注文を受けたものを、届け先に近いB店が代わりに届ける仕組みは「シェアリングサービス」そのものだ。
生花は、野菜と同様の生ものだ。仕入れたものが売れ残れば、単なるロスになる。
「生花を100仕入れて、全部、自店で売り切るのが理想だが、読みがはずれて在庫が生じることもある。そうしたときに、花キューピットからの依頼を受ければ、新鮮な在庫を、フラワーロスにすることなく、生花として活かすことができる」(吉川社長)
配達も、宅配便を利用したサービスの場合、生花を傷めてしまわないよう梱包には相当、気を遣うことになるが、生花店からの配達なら、過剰に梱包する必要もなくなる。
フラワーロスの削減、梱包資材の簡素化は、サステナブルにもつながっている。
このように「花キューピット」は、いま流行りのキーワードで括ることのできるビジネスモデルと言えるだろう。