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「全品、定価の半額以下」で4年連続40%成長!アウトレット店「222」とは何か

コロナが猛威を振るう2020年末、新宿の一等地に華々しくオープンして話題をさらった滋賀県発のアウトレット店「222(トリプルツー)」。廃棄されるはずだった新古品や未使用品を扱い、「全品、定価の半額以下」で販売する。初号店をオープンした18年から毎年、対前期比約140%で売上を伸ばし続けている。数多あるアウトレット店とは「競合しない」と言い切る、運営会社のガットリベロ(滋賀県/荒木伸也社長)代表に好調の理由を聞いた。

一期一会の商品に「宝探し」気分

店舗内観

 アウトレット店「222」は、加工食品や日用品、衣料品、家電製品、ヘルスケア&ビューティ、本・ゲーム・音楽などを販売する。18年に1号店を滋賀県に出店し、現在は関西で10店舗、関東で8店舗、全18店舗を展開している。すべての商品が「訳あり品」で、メーカー希望小売価格の半額以下で販売されているのが特徴だ。

 「222」はメーカーや卸売業者、運送会社などから「訳あり品」を仕入れている。たとえば外箱が破損したりネット通販で返品されたもの、時季が過ぎた季節商材、賞味期限が迫った食品など、従来は廃棄されていた商品だ。お客にとっては「問題なく使用できる新古品・未使用品」が定価の半額以下で買えることから、初出店後、多くの反響を呼んだ。

店舗内観②

 「222」事業が成功したポイントは、メーカーがこれまでやむなく廃棄していた商品に目を付けた点だ。たとえば食品は、賞味期限が迫ると卸売業者や小売店と取引ができなくなる。容器に傷ができた化粧品やネット販売で返品された開封済みの商品は、再検品やリパックに手間や経費がかかる。これらの商品は従来、メーカー側が費用をかけて廃棄していた。

 ガットリベロの荒木伸也社長は「こうした『もったいなさ』に目を付け、廃棄品を一括で買い取ってアウトレット品として売るビジネスを始めた」と語る。

 一部、販売できない商品が混じっていたとしても、さまざまなカテゴリーの商品を一括で買い取るのが「222」の基本的なスタンスだ。扱う商品は10 万種類以上と多岐にわたり、1点限りという商品も珍しくない。時期によって仕入れ先の事情が異なるため、各店が店頭に並べる商品数やジャンルは大きく異なる。売り切れたら再入荷される保証はないため、一期一会の“お宝探し感”を楽しむお客が多いという。

 初出店から2年後の20年、事業が波に乗ると東京都新宿の丸井新宿東口ビルに関東1号店を出店し、メディアを賑わせた。同ビルは入居後の約1年後に解体が決定していたが、荒木氏は広告効果を主な目的に出店を決めた。すると案の定、多くのメディアから取材依頼が殺到し、関東進出の狼煙としては十分な効果を発揮したという。

店舗外観

ショッピングモールへの出店を強化する理由

店舗内観③

 ガットリベロは事業開始当初、ネット販売がメーンの古本屋「かっぱ堂」を運営していた。現業態に転換したきっかけは、11年の東日本大震災だ。揺れで棚から落ちて傷がつき、販売できなくなった商品が現地の体育館の床を埋め尽くすほどあふれていたという。その状態を見かねた荒木氏がその在庫を買い取ったのがアウトレット事業の始まりだった。

 当初は仕入れた商品をネット通販で販売していたが、かさばる商品の送料が割高になるうえ、販売ペースが遅い。やがて在庫が倉庫を圧迫し、苦肉の策で実店舗へと舵を切ったかたちだ。当初は電気が通っていない倉庫で販売を開始し、通行人に声をかけてお客を呼び込んだという。

 すると、破格の価格設定だと消費者のあいだで口コミが広がり、店舗は大盛況に。お客が買物を楽しんでいる表情を目にし、成功の確信を得た荒木氏は屋号を「222」に改め再スタートを切った。その際に思い切って「毎日、全商品が定価の半額以下」をコンセプトにしたところ、客数が増え売上を伸ばした。

 外出が極端に減ったコロナ禍では、売れ残った口紅などのコスメや飲食店に納品されなかった米など扱う商材を増やし、さらなる成功へとつなげた。これまでは単独店での展開が中心だったが、近年はショッピングモールへの出店を強化しており、現在、複数店舗を商業施設「イオンタウン」などに出店している。商業施設内はディスカウントストアやファストファッションショップ、低価格訴求の食品スーパーなどの競合がひしめくが、荒木氏は「競合というよりは共存に近い」と語る。

 「『222』で必ずしも夕飯のおかずがすべてそろうわけではなく、店頭に並ぶ商品は1週間後になくなってしまう場合も多い。『222』は『ついで買い』ができる店舗として機能すればよいと考えている。メーンターゲットは食品スーパーなどを毎日利用する主婦なので、ショッピングモールはターゲットが多く集まるベストな環境といえる」(荒木氏)

 ガットリベロの今後の展望として「10年後に100店舗を展開する、100億円企業をめざす」と荒木氏は語る。しかし、「222」を全国展開させるには、訳あり品を扱うだけでは難しいという。品数を安定させるため、今後はミネラルウォーターや緑茶、米などを中心にプライベート(PB)商品を展開していく予定だ。

 「PB商品も市販品の定価の半額以下で提供したい。工場の閑散期を利用するなど、ローコストに抑える策をメーカーと協議している」(荒木氏)

 半額以下の値段設定にこだわる「222」だが、荒木氏は「使えるのに廃棄されるものを少しでもなくしたい気持ちが根っこにある。商品を求める方とメーカーの架け橋であることが当社の存在意義だ」と語る。