ロハコ悲願の黒字化?ヤフーとの連携で進める、アスクル収益性向上の秘策とは
アスクル(東京都/吉岡晃社長)の2021年5月期決算は、売上高4221億5100万円(対前期比5.4%増)、営業利益139億2300万円(同57.8%増)、経常利益138億5000万円(同60.0%増)、親会社に帰属する当期利益77億5800万円(同37.2%増)となった。
BtoB事業は増収増益
2020年4月の緊急事態宣言発令当初に下落したBtoB事業の売上高は同年5月の緊急事態宣言解除後にリカバリー。特に手指消毒液やマスク等の新型コロナウイルス感染対策商品の需要が増大し、BtoB事業は増収増益となった。
オフィス用品通販として同社が確固たる地位を築いていることに異論はないだろう。創業以来成長を続け、「LOHACO」を中心とするBtoC事業もようやく黒字化が視野に入るフェーズとなった。BtoC事業の売上高は対前期比8.3%増の685億円で期初計画比42億円増、営業利益は41億円の赤字だが、対前期比で20億円改善させた。
強みを磨き込んで成長を続けてきた30年
1992年にオフィス用品通販として500アイテムからスタートした同社は、97年にネットショップ、2012年にはスマホサイトを開設。併せて、「LOHACO」を開始し、BtoCへ参入。AIやロボット等のテクノロジーへも積極投資するなどで発注や物流面の効率化も推進してきた。
ここまでの30年についてアスクルは、「顧客の声や時代の変化に対応しながら、商品やサービスを進化させ、磨き込むことで着実な成長を実現してきた」と述懐。言葉通り、一歩一歩着実に前進を続けてきた。
「磨き込む」の表現は言い得て妙で、当初からシンプルながら革新的なビジネスモデルで躍進してきたアスクルにとっては、大きな変革よりもいかに運営上の無駄や課題を解消していくかが進化の過程で重要な意味を持つ。
4000億円を超える売上は目を見張るが、途上にある社会全体のEC化への伸びしろはまだまだあり、今後も十分に成長が見込まれる。だからこそ、売上に比してまだ十分とは言えない2021年5月期139億円の営業利益をさらに高めることが同社にとっての大きなテーマとなる。なお、同社の営業利益は2021年5月期、過去最高益の97億円を大幅に更新している。