17期連続増収続ける京都の隠れた優良地場スーパー「新鮮激安市場!」の強さの秘密
コスモコーポレーション
コスモコーポレーション(堀井徳人社長)は、京都府に本部を置き、府内に14店舗を展開するローカルスーパーだ。生鮮食品を強化するという方針のもと、品質や味にこだわった商品を値ごろ価格で提供することで、地域の強い支持を獲得し、躍進を続ける同社。かつては不振も経験したというコスモコーポレーションは、いかにして成長路線を歩むようになったのだろうか。
京都府内で14店舗を展開17期連続の増収を達成
コスモコーポレーションは、鮮魚専門店を前身とする。会社設立は1990年で、同年に新規事業として京都市内に売場面積100坪弱の食品スーパー(SM)を出店した。以降、徐々に店舗数を増やしており、2020年10月現在、京都市、向日市、宇治市に14店舗を展開。その大半が、ファミリー層や若年層が流入する人口増加エリアに立地する。
同社のSMの屋号はインパクトのある「新鮮激安市場!」。売場面積100~240坪と、店舗サイズは一般的なSMと比べてコンパクトであるのが特徴だ。商品政策は、青果、鮮魚、精肉の生鮮3品を強化する方針で、味、品質、産地にこだわった商品を値ごろ感のある価格で販売する。購買頻度の高い日配、一部の加工食品などについては、EDLP(エブリデイ・ロープライス)政策をとっている。
「半径500m圏のシェア率100%」を掲げ、小商圏高占有率の店舗運営を志向する同社。近年は年間1店のペースで出店する一方、改装もこまめに実施しながら着実に店舗網を強化してきた。
すでに商勢圏で強い支持を得ているコスモコーポレーションだが、注目したいのは同社の持続的成長とその成長の「中身」だ。同社の10年5月期の売上高は89億円だったが、20年5月期には160億円弱と、この10年間で事業規模を1.8倍近くに拡大した。同期間で増えた店舗数は4店舗であり、売上高の増加分の多くを既存店が稼いでいることが特徴だ。しかも、20年5月期決算で同社は17期連続の増収を達成している。
食品小売の競争環境が厳しさを増している現状を踏まえると、驚異的ともいえる躍進である。足元では、“コロナ特需”の恩恵も受けているとのことで、この勢いはまだ続きそうだ。
業績急上昇のきっかけは某企業のFC事業
「私が入社したのは約25年前。当時、SMの数は2店のみで、会社としてこれから増やしていこうとする時期にあった」そう振り返るのは、同社で社長を務める堀井徳人氏だ。堀井氏は、ほかのSM企業や鮮魚関連の仕事を経験した後、縁あってコスモコーポレーションで職を得た経歴を持つ。
コスモコーポレーションにはかつて、各地でSMを新規出店したもののうまくいかなかった時期がある。