安く買えてフードロス削減と社会貢献!OtameshiとKURADASHI.jpに消費者が共感する理由
2000から3000アイテム掲載する、社会貢献型「Otameshi」
一方、「Otameshi」の立ち上げは2017年7月のことだ。
「KURADASHI.jp」同様、運営会社のSynaBizが食品メーカー等から、処分価格に近い金額で在庫処分商品を仕入れ、「Otameshi」を通じて、一般的な販売価格の50~60%OFF程度で会員向けに販売し、売上の一部が社会貢献団体へ寄付される。これまでのところ、支援先団体は10、累計寄付金額は340万4907円(2020年6月4日現在)になる。
同社執行役員藤井厚氏は「もともと、アパレルや家電のデットストックを、B2Bで処分するビジネスを展開していた。ある食品メーカーから、食品でも同じような仕組みができないかと相談を受けたことがきっかけ」と語る。
当初は「ブランドが傷つかないように、クローズな仕組みにしてほしいという声があった」が、食品の場合、単価が安く、取引が相当量にならなければビジネスにはならないと同社では判断、自社のオープンな販売チャネルとして「Otameshi」を立ち上げることにした。大手食品メーカーに対しては、ブランドの毀損を心配するよりも、社会貢献企業として一面を訴求するほうが、これからの社会環境においては意義があるということを説いた。
「廃棄すれば費用がかかるし、ディスカウンター相手では買い叩かれる。それらに比べれば、通常の販売チャネルより安いとはいえ、メーカー側としてもメリットがある」(藤井氏)
月に1回以上取引のあるメーカー数は「数百の後半」(同氏)といい、食品、菓子・スナック、飲料・酒、美容・健康、日用品、ペット用品など、毎月、2000から3000アイテムが「Otameshi」に掲載されている。2019年12月には農林中金との業務提携を行ない、JAルートを通じて大手食品メーカーの在庫処分に関する情報も集まるようになった。新規の取引先開拓も順調に進んでいるという。
現在会員数は数万人規模、女性比率が圧倒的だ(約7割)。
同社で会員に対し、なぜ「Otameshi」を利用するのかを聞いたところ、「安い」と並んで「(食品ロス削減と社会貢献という)コンセプトに共感した」という声がトップだったという。「Otameshi」がテレビで取り上げられた際には、同社のサーバがダウンしたといい、それだけ社会から注目されているビジネスモデルということだろう。
OEMサイトとして、東京ガスの社会貢献型ECサイトも手掛ける
「Otameshi」モデルに対する関心は消費者だけのものではない。
東京ガスでは2019年4月から社会貢献型ショッピングサイト「junijuni sponsored by TOKYO GAS」を立ち上げているが、システムの裏側では「Otameshi」と連携しており、いわば「Otameshi」のOEMサイトだ。2020年3月には、東京ガスからの紹介で、東海地方を営業エリアとする東邦ガスも、同様スタイルで「junijuni sponsored by TOHOGAS」をスタートさせており、「Otameshi」モデルに対する認知度は確実に高まりをみせている。
新型コロナウイルスによる影響で、「KURADASHI.jp」、「Otameshi」への関心はますます高まるばかりだ。
「コロナ前の2月との比較で、4月の売上げは約2.5倍、会員数は4.5倍に増えている」(クラダシ広報担当者)
「もともと年率200%以上のペースで成長してきているが、コロナ感染拡大後は、従来比150%増だ」(藤井氏)
当面の目標として、クラダシでは「3年後の売上50億円」、「Otameshi」では「早期に売上100億円」を、それぞれ掲げている。