だから、あなたからは買いたくない! 女ゴコロをつかむ売場作りと接客の秘訣
「結果」がよければいい男性、「買い方」にこだわる女性
最後が、「結果」がよければいい男性、「買い方」にこだわる女性。
男性の場合、結果として何が得られるかが重要で、「スペックを調べ、一番安く、一番早く買えるところで買う」。ネット通販向きの買い物スタイルだ。
女性は、購入プロセスを大切に、楽しく買い物をする。「どんな店で、どんな接客、どんなディスプレイ、どんな風に扱ってくれて、店員とどんな会話をして、どんな雰囲気のなかで、商品を買うか」。買物プロセスも、重要な商品価値の一部分であり、店に共感すれば、多少高くても、そこで買うこともある。「買い方プロセス」が、価格や便利さを上回ることもあるのだ。
木田氏は、あるドラッグストアでの自身の体験を、世の中に、女性の心理をいまだ理解できていない店が多いことの実例としてあげている。
突然の頭痛にがまんできなくなった木田氏は、仕事の合間を縫って、近場のドラッグストアに駆け込み、「すぐ効く頭痛薬がありますか」と店員に声をかけたという。
するとその店員は「これがいいですよ!」と即答した。
頭痛をがまんしてここまで来て、必死で助けを求めにきたのに、件の店員は顔色ひとつ変えず、同情するそぶりさえみせなかった。
これでは女性の心は癒されないのだ。
「それはたいへんでしたね、出張中ですか。これから、あなたにぴったりなものを探しましょう」
多少時間がかかっても、こういう気遣いができる人から頭痛薬を買いたい、と。
腕利きの営業マンは、こうした男女の思考の違いを言葉巧みに使い分け、実績に結び付ける。たとえば、夫婦で車のショールームを訪れた場合、ご主人には「優れたスペック」、奥さんには「こんなところに出かけるには最高ですよ」と、乗り心地の良さをアピールするのだ。
なお、ここまで述べてきた男女の違いは、実は、「心における男女の違い」だ。見た目だけで、あるいは性別だけで、簡単に決めつけてしまうと失敗をする。
お客の行動、言動をしっかり見極めたうえで、心の男女を判断する必要がある。