カクヤス、社名を「ひとまいる」に変更! その名に込められた意味と今後の成長戦略
電話での受注対応業務にはAIを導入!
カクヤスは事業改革を進めるうえで、DX推進にも力を入れている。同社は24年10月、販売や受発注のデータとデジタル技術の利活用で現場課題の解決をめざす「デジタルイノベーションセンター」を設けた。
同センターを管掌する取締役の飯沼勇生氏は「DXの目的は業務改善と意思決定の高度化であり、その最終的なゴールは顧客価値の最大化にある」と話す。その実現に向け、配達、受注、カスタマーサポートなどの現場部門と連携しながら、全社的なシステム刷新を進める方針だ。

とくに注力しているのが次の3つの取り組みだ。
まずは、配送体制の最適化である。従来は、拠点ごとに配達エリアを設定し、その範囲内で店舗と顧客の間を往復し商品の輸送を行っていたが、今後は配送管理システムを活用し、注文内容や配送先、在庫状況に応じて最適な店舗・車両・ルートを自動的に割り振る方式へと移行する。これにより、配送効率が最大で約30%改善されるとカクヤスは見込む。
次に、顧客との接点強化の一環として、家庭向け配達サービスを提供する「カクヤス公式アプリ」ではユーザー視点でのUI(顧客接点)やUX(顧客体験)の刷新を実施。その結果、実際にアプリ内で商品やサービスを購入したユーザーの割合は約1.8倍に、アプリのレスポンスタイムは約8.5倍に高速化された。App Storeでの評価も上昇し、顧客の利便性向上につながっている。今後もアプリ活用を促進するため、随時アップデートを行う方針だ。
さらに、受注対応業務の効率ではAIで音声対応が可能な「佐藤愛子ver1.2」を導入。注文依頼や配送状況の確認などを音声対話で自動処理することで、ピーク時のオペレーター負荷を軽減し、顧客の待ち時間を短縮している。音声認識装置を活用したことで、受電時間も実質的にゼロとなり、人とAIの役割分担による業務の効率化が実現した。
カクヤスは今回の「ひとまいる」への社名変更により、酒販事業からから物流事業へのシフトを鮮明に打ち出した。物流のプラットフォーム化とDXを活用により、新たな成長を図る構えだ。




