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「酒ガチャ」+製造小売で若者に人気!オンライン酒屋「クランド」の戦略とは

編集プロダクション雨輝
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500種類以上のオリジナル商品を可能にするSPLモデルとは

 クランドが人気を高めたのは、酒ガチャをはじめとしたサービスに加え、「SPL」によって生み出したオリジナル商品だ。現在ラインアップしているオリジナル商品は500種類以上。毎月新商品を展開しており、多い時には30種類以上の新商品をリリースすることも珍しくないという。

 その商品は独特だ。アイスクリームにかけて味わうアイスクリーム専用果肉酒「罪-TSUMI-」や、冷凍庫で冷やして飲むシリーズ「翠氷」。また、人気漫画「進撃の巨人」や「ブルーロック」とコラボレーションした商品など、幅広い商品を生み出している。

KURANDの人気シリーズ「罪-TSUMI-」。「魅惑イチゴ」「強欲キウイ」「背徳マンゴー」などネーミングも特徴的だ(KURAND提供)

 こうした商品は、どのように生まれているのか。河端氏が明かした経過はこうだ。まず商品の開発にあたり、お客が求めている体験をリサーチ。社員による発案のほか、SNSの投稿や顧客アンケートをもとに企画を練り、提携している全国の酒蔵と協力して商品化するという。市場調査においては、たとえば今の2030代が何に興味を持っているのか。たとえばスイーツ、ゲームなど酒の枠にとらわれず、広い視野で商品化のヒントを探している。

 自社で運営する会員制サイト「クラフト酒研究所」の存在も大きい。サイト上では、会員からサービスや商品に対する率直な意見が投稿される。こうした声を商品化やサービス改善につなげるほか、クランドというブランドの顧客エンゲージメント向上にも役立てている。

 そうして得た情報に基づき、顧客ニーズを掴んでから商品化までのスピードは迅速だ。トレンドを逃さないため、一般的に1年から数年かかるところをKURANDでは数カ月で実現させる。全国約200の酒蔵と提携していることが強みで、河端氏は「お客さまの声が直接届く当社の強みと、酒蔵さんの技術力を掛け合わせながら商品を作っている」と力を込める。

 パッケージにもこだわっている。KURANDが想定しているのは、お客がSNSに購入した商品について投稿することだ。そのため、“映える”パッケージデザインや酒の飲み方もサイト上で提案する。「お客様がSNSに投稿したくなるような仕掛けを意識している」(河端氏)。「この体験を伝えたい、共有したい」と思わせる商品・サービスが、SNSを重視する世代をオンラインストアでの購買行動へと導いているようだ。その結果、同社が重視するリピート率も45割と好調に推移している。

海外事業への再挑戦も視野に

 独自の商品とサービスにより、2030代がお客の約9割を占める(245月時点)など、若年層を中心に成長を遂げているKURAND。同社の次なる挑戦のひとつが、飲食店を中心とした法人向けサービスだ。現在は主に個人客向けに販売しているが、より広い顧客層との接点を創出すべく、飲食店向けに専用のサイトを準備中だという。将来的には「約半分はB2Bをめざしたい」(河端氏)考えだ。

KURAND取締役の河端竜児氏(右)と広報の遠山彩華氏

 海外展開にも意欲を見せる。コロナ禍の影響で一時撤退した中国市場への再挑戦や、日本酒や梅酒の需要が高まっている海外市場への進出も視野に入れている。

 もっとも、そのために重要なのは「商品そのものの魅力をさらに高めること」(河端氏)。「この商品といえばクランド」と認知されるような看板商品の開発・育成を含め、ブランド価値向上とさらなる認知拡大をめざしていく。

 

 

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