経常利益はコロナ前の3倍!ラウンドワンに行きたくなる“2つ”の戦略とは

2024/10/10 05:56
堀尾大悟
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日本食の魅力を海外に発信「ラウンドワンデリシャス」

 米国への初出店は、さかのぼること14年前の2010年。リーマンショックが起こった2年後にあたる。当時から危機感を抱いていたのは、ターゲットである10代、20代の国内人口の減少だった。

「それ以前は、ボリュームゾーンの団塊ジュニア世代が30歳以下で、その恩恵を受けていた。しかし、今後は人口が減少するのはわかっていたので、将来の種まきとして自社が成長できる地域を探さなければいけないという課題感の中で米国に注目した」(岡本氏)

 米国への出店は、今後も年間10店舗のペースで伸ばしていく方針だ。一方で、中国やロシアにも出店しているが、ロシアはウクライナ情勢を受け事業を撤退、中国でも深圳エリア以外の店舗は苦戦している。「まずは中国全土として展開できるだけの経済が回復するかどうかを見きわめる時期」と岡本氏は慎重な姿勢を見せる。

「将来の種まき」は、他にもある。

 2025年夏のオープンに向け米国で準備を進めている新たな事業が「ラウンドワンデリシャス」。ラウンドワンにとって初めての本格的な飲食事業だ。

「さまざまなジャンルの『本物の日本食』を味わうことができる」をコンセプトに、鮨、日本料理、中華、創作(イノベーティブ)、焼鳥、天ぷらなどを組み合わせて1つのレストランユニットを形成するもので、銀座「しのはら」をはじめ、日本国内で「食べログ」の評価が4.5を超えるような高級レストランのラインナップを揃えた。職人を含む従業員はラウンドワンが直接雇用。年収1500万円の条件を提示して積極採用を行っている。

「米国での出店ノウハウを蓄積してきたので、そのノウハウを活かして飲食店の皆さまの海外展開を後押しするとともに、日本の食のコンテンツの魅力を伝えていきたい」

 将来のターゲット人口の減少を見すえ、国内では新たな来店動機を促すコンテンツのテコ入れ、国外では米国市場での店舗展開という2つの戦略を推進してきたラウンドワン。この戦略が、アフターコロナのフェーズとなった今、着実に実を結んでいる。勢いはしばらく続きそうだ。

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