顔認証のみ夜間無人で24時間営業の三洋堂書店、なぜ売上あがった?
24時間化を実施する2つの狙い
三洋堂書店の店舗24時間化は、こうした潮流に抗う、同社の生き残り戦略の一環だ。業態開発室の加藤正康氏が説明する。
「三洋堂書店は、2018年からセルフレジを導入。さらにスマートフォンからのアクセスに適した『三洋堂サイト』と連携したネットで注文、お店で受け取りができる『スマ本屋』を展開している。この利便性を高めるために、営業時間を伸ばすことで、時間を気にせず新しい“ほんとのであい”をお楽しみいただけるものと考えている。経営的にも人件費を抑えられるため、利益増につながると見込んでいる」
書店の24時間営業は、都内でも山下書店大塚店、同世田谷店(夜間は無人営業)が実施している。そうした中で、中部地区を基盤とする同店の「スマート無人営業」は、国内の書店で初めて顔認証のみで入店可能にした点が特長となっている。
「一般的に無人営業をする場合、SNSを活用した事前登録が必要。当社では、それでは利用のハードルがあがると考え、顔認証だけで入店できるようにした」と加藤氏は、事前登録をなくした理由を明かす。
無人店舗ではセキュリティ面の懸念から、事前登録を強めにしがちだ。だが、同社ではそれよりも使いやすさを優先。独自の入店システムを採用し、リアル書店のポテンシャルを探る道を選択した。