「一流ブランドの品質を3分の1の価格で」 化粧品アテニアがV字回復した戦略とは
ファンコミュニティの声からヒット商品を開発!
アテニアの特徴は、通信販売を主力としたダイレクトマーケティングのモデルだ。開発から製品を届けるところまで一貫して行う製販一貫体制をとっている。
「より顧客を理解して商品開発ができるのがダイレクトマーケティングの良さだ。2015年からはファンコミュニティの運営を開始、現在は20万人以上にまで成長している」(春田氏)
ファンコミュニティは公式ECサイトと別のサイトで、毎月さまざまなトピックがあがり、会員同士が直接コミュニケーションを取ることもできる。同ブランドのヒット商品である『ドレススノー』は、ファンコミュニティの声から生まれた。
「世の中の化粧品は美白系と、シワ改善などのエイジングケアに二極化している。どちらを優先したらいいかわからず選ぶのがストレスだという意見があった。当時、美白商品の開発を考えていたが、美白とシワ改善の両方を叶える商品として『ドレススノー』を開発した」(同)
顧客の抱えているインサイトに響くよう「私は選ばない。どちらも欲しい」というメッセージをプロモーションとして展開した。『ドレススノー』はここ数年のアテニアの売上を大きく牽引するヒット商品となった。
また、2024年2月には35周年記念として、顧客とのコミュニケーションを深める仕掛けを考えているという。「第1弾として考えているのは、アテニア創業のきっかけになった横浜スカーフの限定販売。香りをテーマにしたイベントも計画中だ」(同)
35周年を迎え、順風満帆のように見えるアテニアだが、実は課題も抱えている。「広告展開を最小限にしていることで、認知度が非常に低い。そのため、化粧品専門店への展開を拡大することでオフラインでの顧客との接点チャネルを作っていくことを考えている。また、Amazonや楽天などの大手ECモールなどへの展開も強化していく。それと同時に、改めてブランディングにも力を入れていきたい」(同)