「一流ブランドの品質を3分の1の価格で」 化粧品アテニアがV字回復した戦略とは
適正価格の厳守が最優先
大々的な広告展開をしない同ブランドを、消費者はどのように知るのだろうか。
「大きく2つのパターンがある。1つは子どもが生まれるまで百貨店コスメなどを使っていた人が、自分に使うお金が減っていく中で、ネットで品質が高く適正価格の化粧品を探してアテニアを見つける。2つめはこれまではドラッグストアなどで気軽に買えるスキンケア商品を購入していた人が、年齢を重ねて肌の悩みが顕在化し、ネットでアテニアと出会うという形だ」(春田氏)
同社が高品質適正価格にこだわるのには理由がある。実は、アテニアの創業自体が、社会における問題意識から始まっているのだ。アテニアが生まれた1989年当時は、スカーフが非常に人気で、横浜でよく催事が行われていた。アテニアの創業者が催事に出向いた際、同じ生地が使われたスカーフでも、ブランドによって価格が大きく違うことに気づいたのだという。
「世の中の価格づけは女性にとっていい状態ではないという問題意識から、アテニアは生まれた。そのため、適正価格を守ることはビジネスの収益をあげること以上に重要だという認識がある」(同)