大阪の中堅スーパートップが憤る キャッシュレスポイント還元の不都合な運用実態とは!?

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 齋藤綾奈
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申請しても運用できず

キャッシュレス決済
鳴り物入りで始まったキャッシュレスポイント還元制度だが、大手企業からの不満だけではなく、実際に適用対象の中堅・中小企業からの不満・不安もにじむ。

 「キャッシュレス決済におけるポイント還元のための申請が受理されたのは、928日だった。現在、当社におけるポイント還元の対象決済手段は、PayPayだけだ。自社電子マネーの『ナショナルプリカ』も申請中だが、許可が下りる見通しも立っていない」(中村社長)

 同社のように、96日の期限内に申請を出していても、101日までに許可が下りず、今後の見通しが立っていない企業は少なくない。そうした企業のなかには、すでに店頭でポイント還元を実施するという告知を行ってしまっているため、企業自身がポイント還元分の原資を負担するといったケースもあるという。

「申請から運用までのスケジュールを明確に示してほしい。そして、消費者にとってわかりやすい仕組みであってほしい」と中村社長は改善点を挙げる。
 同社としては、ナショナルプリカを活用した販促施策を打ち出すことで、利用者を増やしたいと目論んでいるが、それも足踏み状態。同カードは、現金をチャージしておく方式なので、高齢者にとっても利用しやすい。そのため、同カードの利用時にポイント還元できるかどうかが、利用の拡大を握っており、申請が下りるのを待っている状況だ。

 キャッシュレス決済におけるポイント還元は、お客の商品購入を促進させるというメリットがある一方で、競合との“ポイント還元合戦”に陥るといった企業側のデメリットもある。還元が終わった後に、反動で売上が減少する、あるいはその反動減に対応するためにさらなる安売り合戦に陥ることなども想定しておく必要があるだろう。

 政府の肝いりで始まったこのキャッシュレス・ポイント還元制度。大手小売企業からの不満は絶えない一方で、運用する中堅以下のスーパーマーケットからの不満もまた、無視できないもののようだ。

 

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