渋谷の本店閉店で東急百貨店が向かう “百貨店”にこだわらない「新しいリテール」の姿とは
「フード」と「ビューティー・コスメ」に特化
フードは、「日本初の名店街」と称される「東横のれん街」、そして「デパ地下ブームの火付け役」といわれる「東急フードショー」と、東急百貨店が渋谷の地で長い歴史をかけて培ってきたキラーカテゴリーだ。
2019年11月、東急スクランブルスクエア内に最先端の食品専門店「東急フードショーエッジ)」をオープン。2020年4月には「東横のれん街」を渋谷ヒカリエ内の商業施設「ShinQs(シンクス)」に移転。さらにさらに2021年7月には渋谷マークシティ1階・地下1階と、渋谷地下商店街「しぶちか」に、「渋谷 東急フードショー」がリニューアルオープンした。
この「東横のれん街」「東急フードショー」「東急フードショーEDGE」の3店舗が中心拠点となり、9700平方メートル、約240店舗という食の一大マーケットを形成。渋谷の食文化を引き続きけん引していく。
もう一つの「ビューティー・コスメ」は、渋谷スクランブルスクエアの6階「+Q(プラスク)」と渋谷ヒカリエ ShinQs 1階・地下1階に、計90ブランドを超えるビューティーフロアを展開。東急百貨店が渋谷で担ってきたコスメフロアの品ぞろえを継承し進化させている。
多種多様なカテゴリーをフロアごとに編集し一つの店舗に集約する従来の百貨店スタイルから、「フード」と「ビューティー・コスメ」にカテゴリーを絞り、渋谷の各拠点に面的に展開するスタイルへの転換。わかりやすくいうと、渋谷という街の中に“溶け込ませる”イメージだ。
「東急百貨店が長い歴史の中で磨いてきた編集力を活かし、個々に点在しながらも一つの世界観を創り出すことを意識している」(伊藤氏)