シングルモルトに均一価格制導入!酒税法改正下でのイオンリカーの戦略
ワインのブランディングを強化
ワインについては、20~30代のミレニアル世代を中心とした普段ワインを飲まない層へのアプローチに注力し、さまざまなブランディング戦略を展開する。
今年で3年目となる「イオンワインアワード」では、イオンリカーに所属するソムリエやアドバイザーなど100人のワイン専門家が、ブラインドテイスティング(ワインのボトルやラベルを隠してテイスティングすること)で6種類のワインを厳選。選出されたワインは全店で展開する予定だ。ワイン事業統括部部長の加藤修一氏は「初心者がワインを選ぶのは難しい。専門家が選んだおいしいワインを安心して飲んでいただきたい」と話す。
また、昨年初めて開催した「ワールドワインフェス」を今年も11月に開催することを発表した。9カ国26生産者を招き、来場者と生産者が直接触れ合う機会をつくる。今年初の取り組みとしては、各ブースに自動翻訳機の「ポケトーク」を設置することでコミュニケーションをより円滑にする。
店舗での販売戦略としては、直輸入ワインを3本1000円で販売することで、普段ワインを飲まない人も気軽に購入できるようにする。また、ワインへのハードルを下げるため、ワインの派生商品の販売にも注力。19年11月からは、シードルをベースにアールグレイやカモミールなど紅茶のフレーバーをつけた、低アルコールのスパークリングティーを発売する予定だ。
そのほか、10月4日公開予定の映画「東京ワイン会ピープル」とコラボしたチリ産のオーガニックワインも発売する。ミレニアル世代に向けて、初心者でも飲みやすい赤ワインの「メロウルージュ」、白ワインの「ミストブラン」(各1780円)の2種類を展開する。
自然派ワインの取扱を拡大
また、イオンリカーはワイン業界の持続可能性についての取り組みを強化する方針も明らかにした。「世界的な異常気象の影響で、ワインが製造できなくなった地域もある。当社としては、環境に配慮した自然派ワインの製造に取り組むワイナリーを応援し、ワイン業界の持続可能性に貢献したい」(加藤氏)。
18年時点でイオンリカーが取り扱う自然派ワインは29品目、ワインのカテゴリーに占める売上高構成比は2.1%となっている。これを20年には100品目・同10%に、25年には200品目・同30%に拡大する考えだ。
25年には都内で25店舗展開
イオンリカーは今春、都内の30坪程度の小型店6店舗を閉店しており、現在は都内に7店舗、神奈川県に1店舗を展開している。「(小型店では)デイリーユースの店をめざしたが、酒は嗜好性が高く売場面積が一定以上なければお客の支持を得られない。今後の出店は商品をフルラインで品揃え可能な70坪規模の店舗に絞りたい」(神戸社長)。現在は出店に適した物件を探している最中で、25年までをめどに都内で直営専門店25店舗体制をめざす。
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日本の酒類市場は、人口減少と若者の酒離れが進行していることから長年縮小傾向にある。また、10月から開始される消費増税により、消費者は節約志向をますます強めると予想される。このような状況下では、イオンリカーのようにビールだけでなくウイスキーや日本酒、ワインなど多くのカテゴリーで強みを持ち、多方面から消費者にアピールすることが重要になるだろう。