日本チェーンドラッグストア協会(神奈川県:以下、JACDS)は8月23日、2月に行われた電子タグ(RFID)を用いた店舗オペレーションの実証実験の結果を発表した。すべての実験店舗で約8割の作業効率化が認められたほか、課題も明確になった。JACDSは実証実験の内容を報告書にまとめ、9月上旬にホームページ(会員専用ページ内)に掲載し会員企業へ報告する。
ウエルシア薬局はほぼすべての商品に電子タグを貼付
電子タグ(RFID)を用いた実証実験は、経済産業省とJACDSの「ドラッグストアスマート化宣言」に基づき、2月12~28日にかけて、「ウエルシア千代田御茶ノ水店」「ココカラファイン清澄白河店」「ツルハドラッグ目黒中根店」で行われた。
実証実験の目的は(1)ドラッグストアが取り扱う商品、店舗運営オペレーションにおける作業効率化の検証、(2)電子タグ(RFID)の読み取りが誰でも簡単に、かつ正確に実施できるのかの検証の2つ。実験項目は表1のように3店舗で異なる。
「ココカラファイン清澄白河店」と「ツルハドラッグ目黒中根店」は入出荷時の読み取り(検品)、販売(レジ精算)のみで、電子タグを貼付した商品も少ない。「ウエルシア千代田御茶ノ水店」はタバコ、新聞、雑誌を除くすべての商品(2万4000SKU)に手作業で電子タグを貼付。棚卸、在庫確認の精度も検証した。
次のページは
一目瞭然!RFID利用で、どれだけ効率化できた?
約8割の作業効率化を確認
検品、棚卸作業の結果は表2のとおり。「ウエルシア千代田御茶ノ水店」の棚卸の作業時間は80%短縮したほか、「ココカラファイン清澄白河店」「ツルハドラッグ目黒中根店」の検品時間は77~81%短縮した。
検品、棚卸作業時の電子タグの読み取り精度(表3)は、「ココカラファイン清澄白河店」「ツルハドラッグ目黒中根店」が100%、「ウエルシア千代田御茶ノ水店」は97.1%だった。
なお、レジ会計での電子タグの読み取り率の検証は、実験の設計段階の準備不足により、十分な検証データを得ることができなかった。
JACDSは「ドラッグストア店舗での棚卸、検品作業は、通常時と電子タグ活用時の作業人時比較データの通り、すべての実験店舗で約8割の作業効率化が認められた。誰でも簡単に、精度を落とさず、作業の大幅な効率化が実証できた」と話す。
実証実験の参加企業からは、課題について、「読み取りにくい商品(水分を多く含むもの、アルミ包装等)も存在し、そのような商品に対応したタグの改良が急務」「店舗での人手によるタグの貼り付けは、不可能であると実感した。ソースタギングの実現が不可欠だが、そのためにはメーカーメリットの訴求が必要」などの意見があった。
ほかには、「RFIDを活用した万引き対策にも魅力を感じる」「電子タグを活用して店舗管理業務は短くなり、接客時間が増えた」などの声もあった。
JACDSDは電子タグ実証実験の内容を報告書にまとめ、9月上旬にホームページ(会員専用ページ内)に掲載し、会員企業に報告する予定だ。