がん治療薬「キムリア」、保険適用へ 薬価3349万円
[東京 15日 ロイター] – 中央社会保険医療協議会(中医協、厚生労働相の諮問機関)は15日の総会で、スイス製薬大手・ノバルティスが開発したがん治療薬「キムリア」の保険適用を了承した。薬価は3349万円で、米国での価格を下回った。22日から保険が適用される。
キムリアは、免疫反応の司令塔となるT細胞を患者の血液から取り出し、がん細胞を攻撃しやすくなるよう遺伝子を改変した上で体内に戻す「CAR-T細胞療法」と呼ばれる。投与は1回で済む。
米国では、2つの適応症でそれぞれ47万5000ドル(約5200万円)と37万3000ドル(約4100万円)の値が付き、日本での価格にも注目が集まっていた。
キムリアの薬価は過去最高となるが、中医協に提出された資料によると、日本国内での対象患者数はピーク時で年間216人、市場規模は72億円と予測されている。
ノバルティスによると、キムリアの世界売上高は2018年で7600万ドル(約83億円)と、同社の主力20製品には及ばない規模だ。
だが、少子高齢化の進展に加え、単価の高い医薬品の保険適用が今後も続けば、医療保険財政を巡る状況はいっそう厳しさを増す。
中医協終了後に記者会見した健康保険組合連合会の幸野庄司理事は、キムリアの保険適用を前向きに評価した一方、医薬品の重要度に応じて「保険給付範囲からの除外や償還率変更を実行すべき」と提言した。
(梅川崇 編集:田巻一彦)